サンウルブズ初代HCにハメット氏 土台づくりへ「成長させる」

[ 2015年12月22日 05:30 ]

サンウルブスのチーム発表会見に出席した(左から)垣永、矢富、ハメット・ヘッドコーチ、カーク

 ラグビーの世界最高峰リーグ、スーパーラグビー(SR)に来年から参戦する日本チーム「サンウルブズ」は21日、初代ヘッドコーチに元ニュージーランド(NZ)代表フッカーのマーク・ハメット氏(43)が就任したと発表した。WTB山田章仁(30=パナソニック)らW杯イングランド大会日本代表10人を含む34選手も決定。都内で会見したハメット氏は選手&コーチで優勝した経験を基に、SRで戦えるチームの土台づくりに意欲を示した。

 来年2月27日の初陣(秩父宮、対ライオンズ)まで約2カ月。サンウルブズの骨格がようやく固まった。ハメットHCは会見で「とても光栄。大きな責任も感じている。19年W杯へ日本ラグビーを成長させるのが私の役割」と決意表明した。

 不安の船出だ。ジョセフ氏(SRハイランダーズ監督)の就任が決定的な日本代表指揮官の選考と重なり、チーム編成は遅れに遅れた。SR参戦は日本代表の強化が目的だが、W杯代表31人のうち加入は10人だけで、五郎丸(ヤマハ発動機)やリーチ(東芝)は海外チームと契約。サモア代表SOピシらが“助っ人”で加わり、プロップ平野ら若手もメンバー入りしたものの、ハメットHCは「選考に関わっていない」と明言。「まずは選手を知ること」が必要で、1月31日の日本選手権後1カ月足らずの準備で開幕に臨むことになる。

 だが、苦戦が予想されるからこそハメットHCは適任と言える。現役時代に所属したクルセーダーズはSRの前身「スーパー12」が発足した96年に最下位も、3年後から3連覇を果たす強豪へ成長。引退後はコーチとして同チームを3度の優勝に導き、マコウやカーターらNZ代表の主力を育てた。スター選手が大量に抜けたSRハリケーンズをHCとして4年間率いた経験もある。日本協会も「フレーム(枠組)づくりを地道にやってくれる」と育成手腕を評価してオファーしたという。

 ハメットHCも「クルセーダーズのようにサンウルブズも成長していきたい。1年目はスピリットやシステムなど自分たちが信じることのできる礎を築く」と土台づくりを重視する方針。「トップリーグは革新的なことをやっている。セットプレーが早い」と驚き、「日本らしいラグビーをすることが大事」と強調したが、SRのタフさは知り尽くしている。「進歩するためにはセットプレーが鍵。ディフェンスへの姿勢も大事だ」とレベルアップの必要性を訴えた。

 ◆マーク・ハメット 1972年7月13日、ニュージーランド・クライストチャーチ生まれの43歳。現役時代はフッカーで、96年のスーパー12(現SR)創設時からクルセーダーズでプレーして4度の優勝に貢献。ニュージーランド代表オールブラックスでは99、03年W杯出場など通算29キャップ。03年の引退後はクルセーダーズの指導に携わり、11~14年にハリケーンズHC。14年からカーディフ(ウェールズ)のチームディレクターを務めた。現役時代は1メートル85、107キロ。

 ▽スーパーラグビー 南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアの南半球3カ国「SANZAR」が運営し、2~7月に開催される国際リーグ戦。12チーム参戦の「スーパー12」で96年にスタートし、06年に14チームへ拡大して現大会名となった。11年から15チーム、16年からサンウルブズ、キングズ(南アフリカ)、ジャガーズ(アルゼンチン)が加わり18チームで実施。16年は4つのカンファレンスに分かれて各チーム15試合を行い、各カンファレンス1位と総勝ち点上位が準々決勝へ進出する。

 ▼ジャパンSR上野裕一CEO ハメットは世界を知っているし、SRを知っている。勝ったこともある。日本通で、何よりも人柄が素晴らしい。

 ▼エドワード・カーク(会見に出席)SRの新しいチームに選ばれて光栄。海外でのプレーは初めてなので楽しみだ。

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