羽生極めた4回転サルコー&音楽全体の空気感じ取り表現

[ 2015年12月12日 05:30 ]

ジャンプをすべて成功させた後にステップに入る羽生
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フィギュアスケートGPファイナル

(12月10日 スペイン・バルセロナ)
 羽生のスーパースコアを支えるのは、技術と表現の高次元の融合だ。取り組み始めて4シーズン目となる4回転サルコーは今大会でも完璧に決めるなど、完全に手の内に入れた。世界を制したソチ五輪シーズンでも成功率は悪く、昨季は中国杯での事故や腹部手術もあり、成功は1度だけ。「別にサルコーについて何かを変えた感覚はない。ケガしたり手術したり、若干のブランク、練習できない期間もあったけど、3年間の挑戦は絶対に消えない」。積み重ねてきたものが今季、実を結んでいる。

 音楽へのアプローチにも秘密がある。SP使用曲はショパンの「バラード第1番」。演奏者の映像をチェックし、ピアノそのものにも思いをはせる。イメージを入念に練り上げるが、「それだけにとらわれるんじゃなくて」と羽生はさらに前へ進む。「僕は演奏者でも、ピアノでも、曲そのものでもない。曲や演奏者とは違う次元にいる」。音楽全体の空気を感じ取った上で、スケーターとして氷上で表現する。深い思考が、他の追随を許さない驚異の演技点の源になっている。

 ▼ブライアン・オーサー・コーチ (羽生は)この得点に値する演技だった。4回転サルコーはNHK杯よりもいい出来だった。どこまで点を伸ばすのか。彼を誇りに思うし、歴史の証人になれてうれしい。

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