近藤、浅見撃破で3連覇!逆転勝ちでリオ五輪代表レース一歩リード

[ 2015年12月5日 05:30 ]

浅見(左)を攻める近藤

柔道グランドスラム東京大会第1日

(12月4日 東京体育館)
 逆転の一本勝ちで代表レースも逆転した。女子48キロ級決勝は、近藤亜美(20=三井住友海上)が浅見八瑠奈(27=コマツ)から大外刈りで技ありを奪い、そのまま抑え込み合わせ技一本。残り36秒で指導1をリードされていたが、土壇場でひっくり返した。4月の全日本選抜体重別選手権では浅見に敗れ、連覇を狙った8月の世界選手権も銅メダル止まり。しかし、今年最後の大会でライバルを撃破して大会3連覇。再びリオ五輪代表争いの先頭に立った。

 勝敗を分けたのは残り36秒での指導だった。指導を受けた近藤は「最後まで諦めちゃいけない。気にしない」と考えた。有利になった浅見は「時間も残り少なかったのでホッとした」と少しだけ気持ちが緩んだ。

 きっ抗していた中での勝負のあや。わずかに受け身に回った相手に近藤が攻勢をかけた。「どこかでチャンスがあるはずと狙っていた」。残り27秒、得意の払い腰と見せての大外刈り。力を込めた右足で叩きつけ、そのままけさ固めにとらえた。「ただ勝ったからではなく、負け続けてきた1年の締めくくりで勝てた。この大会も3連覇。全部を含めて涙が出た」。噴き出る汗、涙、そして笑顔には、さまざまな思いが詰まっていた。

 昨年は19歳で世界女王に輝く快進撃を見せた。しかしその肩書に重圧を感じ、柔道の方向性に迷い、今年は強さが影を潜めた。8月の世界選手権にも敗れ、女王の看板を下ろせたことで、ようやく肩の荷が下りた。

 苦しみもがく過程で少し大人にもなっていた。今大会前は自分で料理用はかりを購入して食事量を管理した。減量はいつになくスムーズだった。「本当に嫌い」なウエートトレーニングにも「週4、5回」は我慢して取り組んだ。「もっと攻めてこられると思っていた」という予想外の感触は、浅見の硬さだけではなく、自身のストイックな取り組みの成果でもあった。

 これでライバルとの直接対決は2勝1敗と勝ち越した。女子代表の南條充寿監督は「これからも2人の争いは続くが一本勝ちは大きい」と評価した。「自分が一歩進めたかな。でも今まで一歩下がっていた。まだまだ気は緩めない」。佳境を迎える代表選考。近藤が再び勢いを取り戻した。

 ▽柔道のリオ五輪代表選考 出場資格は来年5月末の世界ランクが男子22位、女子14位以内(国が重複した場合は繰り下がる)であること。それを踏まえ、国内選考は今年の世界選手権などの実績に、今大会や2月の欧州遠征、4月の全日本選抜体重別選手権まで(重量級はその後の全日本選手権、全日本女子選手権も含む)の成績を加味して総合的に判断される。

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2015年12月5日のニュース