中村主将 身を削って選手一丸「貯金取り崩して生活」

[ 2015年11月30日 05:30 ]

<日本・カザフスタン>前半、トライを決める中村

7人制ラグビーリオデジャネイロ五輪アジア予選日本大会

(11月29日 秩父宮)
 競技を始めてわずか5年。にもかかわらず12年から主将を務めて大仕事を成し遂げた中村は「本当に5年間の苦労が頭の中をよぎった」と少しだけ安どの表情を見せた。

 決勝では前半3分、ペナルティーからの速攻で大きくゲインした山口をフォローし、ラストパスをもらって先制トライ。決してトライゲッターではないが、初日は0だったトライがこの日は計3トライ。守備でも猛タックルを繰り返し、主将の役目を果たしきった。

 法大時代までバスケットボール一筋。卒業を機に一区切り付け、他にのめり込めるスポーツを探していたところ、たまたま実家近くで活動していたクラブがあり門戸を叩いた。翌11年には初代表。「五輪は想像できなかった。ラグビーをやって良かった」と運命に感謝する。

 主将経験は一切なく、指名された当初は戸惑いながらも覚悟を固めた。アスリートから経営学の書物までむさぼり読んで理想の主将像を追求する中、ピンと来たのがサッカー日本代表主将の長谷部誠(フランクフルト)の著書「心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣」(幻冬舎)。「みんなの前に立って背中で引っ張るだけが主将ではなく、後ろで列をそろえるスタイルもあると学ばせてもらった」と、肩の力を抜いてチームをまとめた。8月の国際大会前の北海道合宿で、ホテルのゲームでつったクマのぬいぐるみをチームマスコットにしてからは、大会ごとにぬいぐるみを購入。今大会も巨大なクマにジャージーを着せ、激闘続きの選手たちに癒やしを与えた。

 今年に入り電通東日本を休職。現在は「貯金を取り崩して生活している」が、チームメートと食事をする際は「ケチになったと言われないように生きていたいので」と後輩の分は自腹を切る。ピッチでは誰よりも体を張る中村の休職期間は、もう9カ月ほど延びることになる。

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2015年11月30日のニュース