羽生 出た世界最高!初挑戦4回転2発完璧 前人未到300点いける

[ 2015年11月28日 05:30 ]

気迫の表情を見せた羽生

フィギュアスケートGPシリーズ最終戦NHK杯第1日

(11月27日 長野市・ビッグハット)
 男子ショートプログラム(SP)で、ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(ゆづる、20=ANA)がスーパー世界最高で首位発進した。2種類の4回転ジャンプに挑む新構成を完璧に遂行し、自身が保持していた世界最高得点101・45点を、一気に4・88点も更新する106・33点をマーク。2位の金博洋(18=中国)に10・69点の大差をつけ、28日のフリーに臨む。

 滑り終えた羽生が自らを称えるように拍手をした。それが手応えを物語っていた。SP初挑戦となる2本の4回転ジャンプに成功し、自らのSP世界記録101・45点を更新。98年冬季五輪の地・長野でフィギュア史に残る106・33点を叩き出した。

 「世界最高得点を取れたので、羽生復活みたいなふうに皆さんは思うかもしれないけど、スコアどうこうよりも今、自分ができるSPの最高難度のものができたと思う」

 ソチ五輪金メダリストは興奮をみじんも見せず、会心の演技を諭すような口調で振り返った。最初の4回転サルコーに成功。続くトーループの4回転―3回転は「試合で一度も成功したことがない」という鬼門だったが、滑らかに舞い降りた。ここで観衆の興奮は頂点へ。ピアノの旋律に合わせて手拍子が響く。最後のジャンプ、トリプルアクセルも綿の着地だ。ジャンプに失敗して6位と出遅れた10月のスケートカナダの不安定さはどこにも見当たらなかった。

 「(得点は)驚かなければいけないところだけど、やっとノーミスでできたという方が強い。ホッとしました」

 コンディションの良さが高難度プログラムの挑戦を可能にした。スケートカナダに向けた調整では数年ぶりに持病のぜんそくの発作に襲われ、追い込んだトレーニングができなかった。同大会直後に4回転2発の新構成へのアタックを決断。NHK杯までの約1カ月は体調の不安もなく、拠点のカナダ・トロントで計画通りの練習を積んだ。「とにかく一生懸命、キツイ練習をこなしてきました」。流した汗の量がそれを表していた。

 羽生は12~13年シーズンから2季連続でSP「パリの散歩道」を滑り、14年ソチ五輪で101・45点の世界最高得点をマークした。今季は昨季に続き、ショパンの「バラード第1番」。今季は過去2戦でジャンプのミスがあったが意に介さない。「このSPは2季目。自信を持って滑ることができる」。自己最高難度のジャンプ構成に加え、深みを増した表現。全て9点台だった5項目の演技点46・89点も自己最高だ。2季ぶりの世界最高得点は必然だった。

 第1グループでは金博洋が2度の4回転を成功させて今季最高の95・64点をマークしていた。それを大トリで大きく上回り格の違いを見せつけた。「現五輪王者として連覇をするためには圧倒的に強くならないといけない」。28日のフリー。完璧に滑り終えた先に、前人未到の300点超えが待っている。

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2015年11月28日のニュース