北太樹 北の湖部屋最後の白星「師匠の教え忘れずに」

[ 2015年11月23日 05:30 ]

北太樹が寄り切りで佐田の富士を破る

大相撲九州場所千秋楽

(11月22日 福岡国際センター)
 平幕の北太樹が北の湖部屋の力士として最後の一番を白星で飾った。佐田の富士に頭から当たって一気に前に出る気迫の速攻で寄り切ると、「気持ちが入りました」と言って目を潤ませた。

 今場所限りで一代年寄の「北の湖部屋」の名称はなくなる。部屋は来場所から部屋付きの山響親方(元幕内・巌雄)が継承し、山響部屋となることが濃厚だ。7勝目を挙げて、幕内残留を確実にした部屋頭は「こんなに早く部屋がなくなるとは思っていなかったので寂しいです」と漏らした。

 師匠は「父親のような存在」だった。初めて会ったのは10歳の時に訪れた横浜巡業。「オーラがあった」と心引かれた。「相撲は入ってから教えてやる。好きなスポーツをやって足腰をつくっていろ」と声を掛けられ、中学までサッカーに打ち込んだ。入門後は「基礎が大事だと教わった。稽古より四股でばかり怒られた」と基本を叩き込まれた。

 師匠は2年前、体調が悪かったにもかかわらず、引退する弟子の断髪式に参加。ハサミを入れた直後に入院したという。「自分のことより、人のことを優先する。本当に思いやりのある師匠でした」。亡くなった20日の午前中、救急車で運ばれる前「大丈夫ですか」と声を掛けると、周囲を心配させないよう「大丈夫」と答えたという。それが最後の会話だった。

 「師匠の教えを忘れずに、伝えていきたい」。北の湖理事長が育てた最後の幕内力士はそう胸に誓った。

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2015年11月23日のニュース