イ・ボミが愛されるワケ 簡単なようでなかなかできない笑顔の対応

[ 2015年11月17日 14:02 ]

優勝カップを手に笑顔のイ・ボミ

 「近くて遠い国」と言われていた日本と韓国。その距離はここ十数年で随分と縮まった。13年前のサッカーW杯日韓大会が1つの契機になったことは間違いないだろう。

 そもそも両国は2002年W杯招致を争うライバルだった。共同開催は苦渋の選択だったが「長年の宿敵」は「協力するパートナー」に変わった。W杯の成功があったからこそ壁がなくなり、日本で韓流ドラマがブームになり、韓国のタレントが人気を得るという土壌ができたのだと思う。

 今季女子ゴルフツアーの賞金女王になったイ・ボミは韓国出身のゴルファーとしては過去に例のない人気を得ている。その人気もこの十数年で積み重ねられた土壌があるからこそ生まれたものだろう。ただ彼女には日本人に受け入れられる資質があったことも確かだ。

 イ・ボミは11年から日本ツアーに参戦した。もともと韓国にはファンクラブがあったが、日本にもファンクラブが創設され、現在2000人以上の会員がいる。試合では多い時には100人近いファンが彼女のプレーを見守っている。

 なぜイ・ボミはこんなに愛されるのか。ゴルフの技術の高さ、愛らしいルックスも要因には違いない。でもそれだけでは足りない気がする。“ベタな話”になってしまうが、常に笑顔で対応する姿勢に誰もが魅了され、応援したくなるのではないか。ファン、メディア、誰にでも笑顔で応じる。至近距離できちんと向き合う。毎日そうだ。簡単なようでなかなかできることではない。だから接した人は彼女のことを「手の届かないアイドル」ではなく「身近なボミちゃん」と感じるのだ。

 イ・ボミのシューズには日本と韓国の国旗が縫い込まれている。祖国と同じように日本や日本人を愛している証だ。愛しているからこそ愛される。もちろん国籍は関係ない。イ・ボミを見ていると、そんな思いがわいてくる。 (福永 稔彦)

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2015年11月17日のニュース