白鵬 朝青龍以来6年ぶりやぐら投げ「とっさだね」

[ 2015年11月15日 05:30 ]

隠岐の海(左)をやぐら投げで下す白鵬

大相撲九州場所7日目

(11月14日 福岡国際センター)
 36度目の優勝を狙う休場明けの横綱・白鵬は隠岐の海の寄りに苦戦しながらも逆転のやぐら投げを決め、ただ一人7戦全勝とした。行司軍配差し違えとなり、立行司・式守伊之助が8日目から3日間出場停止処分を言い渡される珍事も発生。盤石の白鵬を1敗で追うのは勢、松鳳山、高安を含む6人となった。

 あまりに美しく、あまりに豪快だった。白鵬は先場所敗れた隠岐の海に左四つの体勢で土俵際まで詰め寄られたが、見せ場はそこから。左足一本でこらえると同時に右足では相手の膝をはね上げ、空中でひっくり返しながら土俵に投げつけた。

 決まり手は09年名古屋場所13日目に横綱・朝青龍が当時大関の日馬富士に決めて以来6年ぶりのやぐら投げ。左膝を痛めて先場所途中休場したとは思えぬ底力を披露し、唯一の全勝を守った。「力が強いイメージ。とっさだね」と言う自身初の大技が決まった要因は「ゆっくり休んだからじゃないかな」とニヤリ。有り余った力をここぞの場面で存分に発揮した。

 興奮したのは座敷で見守るファンだけでない。立行司の第40代式守伊之助が上げた軍配は東の隠岐の海。3日目の日馬富士―碧山戦に続く2度目の差し違えとなり、北の湖理事長(元横綱)から「翌日から3日間出場停止」を言い渡された。理事長は「この差し違えは重い」と説明し、伊之助も「僕の見間違え。先場所もありましたから私の不徳の致すところで当然」と猛省。99年九州場所千秋楽に同じ処分を受けた第29代伊之助(翌年初場所初日から3日間出場停止)以来の珍事にも、当の横綱は「軍配が向こうに上がったのは知らなかった。(物言いは)自分のかかとが出たのかなと。土俵下で審判の親方に聞いて知った」と当然の様子。土俵上で一番冷静だったのは36度目Vを狙う白鵬だったことは間違いない。

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