白鵬もう独り旅 全勝3人敗れ6日目で単独トップ

[ 2015年11月14日 05:30 ]

豊ノ島(左)を寄り切りで下す白鵬

大相撲九州場所6日目

(11月13日 福岡国際センター)
 先場所左膝を負傷して途中休場した横綱・白鵬が豊ノ島を問題なく寄り切って唯一全勝を守った。大関・琴奨菊と勢、千代鳳が初黒星を喫したため、6日目にして早くも単独首位に。場所後の冬巡業では米国で心臓移植手術を受けた8歳の少年と念願の初対面を果たす予定で、36度目の優勝を届けるためにも負けられない戦いが続く。白鵬を追う1敗力士は横綱・日馬富士ら7人となった。

 まだ中盤戦だが、休場明けの白鵬が早くも“定位置”の単独トップの席に帰ってきた。相手は1メートル69と関取で最も背の低い豊ノ島。自身が23センチも高いが、それを全く感じさせない低く鋭い立ち合いだった。先場所負傷した左足から踏み込み、左の前まわしに指を掛けながら一気に前へ。すると本来は豊ノ島が得意とするもろ差しを逆に自らがつくって寄り切った。相手のお株を奪う盤石の相撲で唯一の全勝を守り「先場所休んで、また引っ張っていくというのはうれしい」と、やはりトップの座り心地は良さそうだ。

 場所後の12月8日に行われる鹿児島県霧島市での冬巡業で、ある少年と初対面を果たす計画がある。白鵬は2年前、50万人に1人の確率で発症する難病「拘束型心筋症」を抱えていた同市出身の水流添日向(つるぞえ・ひなた)君(8)の家族と出会い、米国での心臓移植手術のために必要な1億4500万円の募金呼びかけに協力。白鵬効果は絶大で約3カ月後に資金は集まり、日向君は昨年7月に手術を成功させて帰国。今年は運動会にも参加した。

 同市には白鵬の鹿児島後援会があり、今回の巡業は横綱も計画段階から打ち合わせに参加した“白鵬巡業”だ。勧進元によると、前夜祭に日向君が招待される予定。母・二三代さんは「巡業当日も会場に行ければ行きたい。日向は白鵬関のCMを見るたびに“白鵬さんだ”と言っていますから」と初対面を心待ちにしていることを明かした。

 36度目Vを狙う横綱は「一番一番」と無欲を強調するが、北の湖理事長(元横綱)は「これで逃げ切りでしょう。他の横綱が付いてこられなかったら80%逃げ切りだ」と断言。定位置を守り抜き、霧島に凱旋する道筋が整ってきた。

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2015年11月14日のニュース