内村 世界一のパパ!個人総合6連覇 “生ける伝説”リオ決定

[ 2015年11月1日 05:30 ]

世界選手権男子個人総合で6連覇ポーズをとる内村

体操世界選手権第8日

(10月30日 英国・グラスゴー)
 世界一の雄姿を愛する家族に見せつけた。男子個人総合決勝で内村航平(26=コナミスポーツク)が、合計92・332点で自身の史上最多記録を更新する6連覇を達成。初めて海外の試合を現地で観戦した妻子に団体総合に続いて金メダルを届け、16年リオデジャネイロ五輪代表にも決まった。2位には内村と1・634点差の90・698点でマンリケ・ラルドゥエト(19=キューバ)が入り、初代表の萱(かや)和磨(18=順大)は88・198点で10位だった。

 体操界のキングは誰なのか。美しい演技とド派手なパフォーマンスを見れば、答えは明白だ。最終種目・鉄棒の着地を決めた内村が、得点が出る前から両手を振り上げて観客をあおった。「点差も分かってたし、これはいったかなって。だったら沸かせるだけ沸かせてやろうと思って、初めてやった。ちょっと調子に乗ってみました」。優勝が決まると、指を1本ずつ順番に立てた。開いた左手と、右手人さし指で「6連覇ポーズ」の完成だ。

 「(優勝が)6回目だし、片手じゃ収まらないっていうのをやってみた。(6連覇は)正直、自分でも信じられない」

 床運動と跳馬で24選手中トップの得点をマークするなど、2位と1・200点差の安全圏で鉄棒へ。28日の団体決勝で落下したG難度の「カッシーナ」を外し、勝利にこだわった。団体も個人総合も制覇するのは自身初めて。「達成感がいつもと違う。日の丸を2回も揚げられたのが初めてだったんで」。全種目で着地はほとんど乱れず、演技を終えるたびにガッツポーズ。力強く突き上げた拳の先には、愛する家族がいた。

 12年11月に結婚した妻・千穂さん(26)、2歳の長女、0歳の次女が、海外の試合を初めて観戦。「練習で子供に接する時間があまりない」と内村は苦笑いを浮かべるが、子育てにも奮闘中だ。自宅では愛娘と遊び、おむつを替え、一緒に風呂に入る。パパとしてもオールラウンダーなキングは、「奥さんには感謝してる」と表彰式でもらった花束を千穂さんに渡した。

 内村の胸には今、「8割の美学」がある。今大会前、コンディションは急上昇。「調子がいいからこそ今年、来年は8割の力でいこうという話をした」と明かした森泉コーチは、「力を常に使い切るのではなく、残り2割は何かがあった時のために取っておくということ。(08年の)北京五輪の時も同じだった」と続ける。団体予選で頭を強打するアクシデントはあったが、2割の余裕を保つことで、ここまでの18種目を乗り切った。

 前人未到の6連覇で16年リオデジャネイロ五輪の代表にも決定。04年アテネ五輪以来の団体V、12年ロンドン五輪に続く個人総合連覇を狙う。「五輪はまた別次元。ここから考えてやってかないと、足をすくわれる。団体も個人総合も課題が見つかったし、世界選手権と同じようにはいかない。しっかり五輪仕様にしていく」。勝ち続けても慢心はない。体操ニッポンに歓喜を、ライバルには絶望を与え続ける。それが内村航平だ。

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2015年11月1日のニュース