羽生、今季初戦「悔しい」Vも和風プログラム高得点

[ 2015年10月17日 05:30 ]

男子フリーでジャンプする羽生

フィギュアスケート オータム・クラシック

(10月15日 カナダ・バリー)
 ソチ五輪男子金メダルの羽生結弦(ゆづる、20=ANA)が、フリーで1位の184・05点をマーク。ショートプログラム(SP)との合計を277・19点とし、今季初戦を優勝で飾った。映画「陰陽師」の曲を使った和風プログラムで、演技後半の4回転トーループは転倒したものの、上々のスタートを切った。女子はSP3位の今井遥(22=新潟県連盟)がフリーで2位の116・72点をマークし、合計174・89点の2位だった。

 陰陽師・安倍晴明がリンクに舞い降りた。羽生の今季フリーは映画「陰陽師」の曲を使った「SEIMEI」だ。和のプログラムに乗り、序盤の4回転サルコーと4回転トーループは成功。基礎点が1・1倍になる演技後半、トーループの4―2回転は4回転で転倒して連続ジャンプにならなかったが、今季初戦を圧勝した。「点数は思った以上に評価していただいたが、正直悔しい」と大粒の汗を拭った。

 演技後半の4回転は14日のSPに続いて失敗。2度のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も、予定していたコンビネーションにならなかった。「大きな得点源だからこそ、決めないといけない」と反省したが、抜群の修正能力も見せた。単発の3回転ループを急きょ、3回転ループ―1回転ループ―3回転サルコーの連続ジャンプに変更。「ぶっつけ本番で初めて」。得点の取りこぼしを最低限でとどめた。

 表現の幅を広げるため、競技用では初めて和のプログラムに挑戦。「僕だからできる和の繊細さ、和の力強さがある」。曲が決まってからは狂言や能といった日本の伝統芸能も研究。姿勢や歩き方に、滑らかなスケートとの共通点を探った。今季初戦のこの日、笛や太鼓が鳴る中、神秘的な空気を醸し出した。ジャンプでミスはあったが、表現力が問われる5項目の演技点は全て9点を超えた。

 「収穫も課題も見つかった」と話した今大会を終え、30日開幕のGPシリーズ・スケートカナダ(レスブリッジ)に参戦する。本格的なシーズン開幕へ、「また一歩進まないといけない」と力を込めた。陰陽師・安倍晴明を演じても、問題を即座に解決してくれる秘術は存在しない。収穫を自信に変え、課題を一つずつクリアする地道な作業が、羽生の確かな前進を約束する。

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