【ジャパンウエー軌跡と未来図2】多方面に展開 エディーHC「無償の努力」

[ 2015年10月15日 13:40 ]

会見で笑顔を見せるジョーンズHC

 日本が世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」に参入にこぎつけたのも、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの貢献度が大きい。構想自体は日本がホスト国となる19年W杯に向けて強化を図るため、岩渕健輔GMが長年温めてきたものだが、同GMも「声を大にしては言えないが、彼が持っているコネクションを、何でも日本のラグビーのために使ってもらってきた」と認める。

 母国オーストラリア協会との強いつながりを生かし、日本参入のメリットを説いた。最終的に同じく参入を目指していたシンガポールとの一騎打ちとなった際は、ニュージーランド紙などメディアを通じ、「シンガポールの参入はばかげている」などと厳しい論調を展開。これらのキャンペーンとは別に、オーストラリア協会に日本人枠を新たに設けさせることにも成功。この枠を利用したとされるのが同国西部の都市パースを本拠地とするウェスタンフォースに加入したWTB山田章仁。本来の任務ではない19年大会に向けたテコ入れ策だけではなく、今大会に向けた選手強化にもつなげた。

 前体制と比べて格段に長くなる代表拘束期間を見込み、就任1年目の12年7月には菅平高原や北海道で合宿を張るトップリーグチームを行脚。自ら頭を下げて、代表活動への理解を求めたという。さらに早大、筑波大、帝京大といった大学チームにもあいさつ回り。要望があれば他のコーチを引き連れ、指導する手間も惜しまなかった。協会のあずかり知らないところで小さなクラブや女子チームをコーチングしたのも、全ては日本ラグビーの底上げを願っていたからこそ。さまざまな「無償」の努力は今大会のためばかりでない。19年に向けた種まきもしていた。(特別取材班)

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2015年10月15日のニュース