8強厳しくても…福岡スタンバイ!12日米国戦で初トライ“奏でる”

[ 2015年10月9日 08:20 ]

1次リーグ最終戦に向けてパスする福岡

ラグビーW杯イングランド大会

(10月8日)
 日本代表は8日、11日(日本時間12日午前4時)の米国との1次リーグB組最終戦(グロスター)に向け、完全非公開で調整を行った。7日には南アフリカが米国を64―0で下し、B組1位が確定。日本の準々決勝進出は10日のスコットランド―サモア戦でスコットランドが勝ち点2以下となることが絶対条件になった。厳しい状況だが、ここまで出場1試合にとどまっているWTB福岡堅樹(23=筑波大)が、再びピッチに立とうと準備を整えている。

 リベンジに燃えている。9月23日のスコットランド戦で先発も、チーム一の快足を発揮する場面は少なくノートライ。「いくつかチャンスがあった中で確実に(ボールを)もらって取り切りたかった」と悔やんだ。3日のサモア戦はメンバー外。南アフリカが1次リーグ突破を決め、準々決勝進出チームは残り1と厳しい状況の中、バックス陣はマレ・サウや山田らが負傷を抱えている。福岡が1次リーグ最終戦に懸ける思いは強い。

 W杯は親子の夢でもある。福岡が5歳の時に地元の玄海ジュニアラグビースクールに連れ出した歯科医の父・綱二郎さん(57)は、全国制覇2度の名門、大阪・天王寺高ラグビー部の出身。「走るのが速かったから、始めてすぐに好きになったと言っていた」と当時を振り返る。

 綱二郎さんの教育方針は「チャンスを与えてあげること」で、小学校時代の福岡少年は習い事を掛け持ちした。基礎体力を付けるための水泳、落ち着きを身に付けるための書道、学習塾、そしてラグビー。中でもラグビーとともに中学卒業まで通ったのがピアノ教室で、コンクールで受賞歴もある。ピアノが当初は嫌いだったが、続けることで根気強さが自然と身に付いた。福岡高入学後はバンドを結成。父には「ピアノを続けて良かった」と感謝した。

 座右の銘の一つが「stay hungry’ stay foolish(ハングリーであれ、愚か者であれ)」。アップル創設者、故スティーブ・ジョブズ氏が05年に米スタンフォード大の卒業式でぶった、伝説の講演で使った締めの一節。同氏の著書を父に勧められて読み「純粋に心に響いた」という言葉だ。

 福岡自身、20年東京五輪後にラグビーを離れ、医者への転身を目指している。真剣に楕円(だえん)球と向き合えるのも、あと5年。だからこそ、ハングリーに、愚直にトライを目指す。優等生の表情に秘めた熱い気持ちを、米国相手にぶつける。

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