鶴竜、9場所ぶりV!復活支えた家族のため「頑張って良かった」

[ 2015年9月28日 05:30 ]

賜杯を手に支度部屋で笑顔を見せる鶴竜(左)。右は長女・アニルランちゃん、ムンフザヤ夫人

大相撲秋場所千秋楽

(9月27日 両国国技館)
 横綱・鶴竜が12勝3敗で並んだ大関・照ノ富士との優勝決定戦を左上手出し投げで制し、9場所ぶり2度目の優勝を果たした。横綱昇進後は初優勝。2敗で単独首位だった鶴竜は本割で、ただ一人1差で追っていた照ノ富士に寄り切られたが、決定戦で雪辱した。左肩負傷で3月の春場所から2場所連続休場したが、家族とともに試練を乗り越えた。次なる九州場所は11月8日から福岡国際センターで行われる。
【千秋楽取組】

 全ての苦労が報われるような、鶴竜の人生30年で最も幸せな瞬間だった。照ノ富士との決定戦の末に横綱昇進後9場所目で初の優勝を決めた支度部屋。賜杯を抱いた横綱の隣には今年2月に結婚したムンフザヤ夫人(24)が笑顔満開で座り、自らの左膝には5月末に誕生した長女・アニルランちゃんを乗せた。「この瞬間のためにずっとやってきた。腐らず頑張ってきて良かった」。左肩腱板損傷で春場所から2場所連続休場した苦難を支えてくれた家族との撮影を終え「夢がかなった」と胸を張った。

 白鵬、日馬富士が休場し、一人で横綱の重責を背負った15日間。9日目までは1敗を守ったが「最後の方にのしかかってきた」。10日目の妙義龍戦で引き癖が出て敗れ、首位の照ノ富士と2差が開いた。11日目の栃煌山戦と14日目の稀勢の里戦では変化で勝利。いずれも館内でブーイングが起きた。それでも、最後まで自分を取り乱さなかったのは家族がいたから。場所入り前に毎日、モンゴル料理を振る舞ってくれたムンフザヤ夫人からは前夜「横綱は集中している。私は信じてるから」と励まされた。千秋楽の土俵入りの際には「いい相撲取れよ」「帰れ」などと罵声が飛んだが、動揺はなし。本割ではあっさりと照ノ富士に寄り切られて3敗で並ばれたが、決定戦では前まわしを握って左上手出し投げを打ち、昨年春場所以来2度目の優勝を決めた。

 左肩の治療で休んだ春場所と夏場所。幕内取組の時間帯に自宅で黙々と室内バイクをこいだ。豪快な性格の持ち主が多い横綱の中では珍しく「インドア派」と宣言するが、さすがに「外出ができずつらかった。家族がいたから良かった」と振り返る。妻が話し相手となり、心を癒やしてくれた。

 横綱昇進から1年半で第一目標を達成。「先が見えてきた。もっと鍛えてさらに頑張っていきたい」。3横綱がそろった中で館内の誰もが称賛するような15日間を過ごし、賜杯を抱くことが次なる責務だ。

続きを表示

この記事のフォト

2015年9月28日のニュース