勢が平幕Vへ9連勝 照に離されないぞ!唯一の1差キープ

[ 2015年9月24日 05:30 ]

蒼国来をはたき込みで破る勢(左) 

大相撲秋場所11日目

(9月23日 東京・両国国技館)
 平幕の勢が蒼国来をはたき込みで破り、ただ一人の1敗を堅持した。左肩の激痛などと闘っていた先場所は2勝13敗で大不振だったが、ケガを克服して大活躍。全勝の照ノ富士を1差で追う唯一の存在として、国技館を大いに湧かせている。2敗は、横綱・鶴竜と平幕の豊ノ島だけとなった。
【11日目取組】

 ケガから復調した勢の連勝街道が止まらない。蒼国来を相手に全力で肩からぶつかった後、互いに押し合ってけん制。先に相手が右手を手繰って仕掛けてきたが「落ち着いていた」と冷静に見極めてはたき込みで勝負を決めた。これで3日目から破竹の9連勝で自身5度目の2桁に到達。全勝の照ノ富士を“ただ一人”1差で追いかける大きな存在となっている。

 先場所は2勝13敗。まわしでこすれた股関節のリンパ節から細菌が入り、高熱に悩まされて取組後に病院で抗生物質の点滴を打ち続けた。加えて左肩にたまっていた水と血腫が神経を圧迫。立ち合いでぶつかるたびに激痛に襲われた。幕下時から勢の体を見る浜崎亮輔トレーナー(35)は「自分は出場するのは厳しいなと思っていた」と述懐。だが、強行出場を決断した本人は「先場所があったから今場所がある」と平然と振り返る。確かに先場所全休していれば十両に陥落していた。痛みに耐えて2勝したことに意味があった。ケガも場所後の治療で克服。入門以来初めて巡業を休んで体をつくり直し、左肩の水と血腫も取り除いた。同トレーナーは「1年以上だましだましやっていた肩の痛みがなくなり、思い切り当たれているのが大きい」と好調の要因を説明した。

 逆転Vとなると平幕としては12年夏の旭天鵬以来、日本出身としては06年初の大関・栃東以来。さらには伝統ある伊勢ノ海部屋としては67年名古屋の横綱・柏戸以来48年ぶりとなる。日課の夜の散歩で口ずさむ曲は「じょうじ(山本譲二)しょうじ(小金沢昇司)ゆたか(山川豊)」という角界きっての歌い手は今後に向け「当たり前ですけど、最後まで一生懸命やるだけ」と一言。照ノ富士の“全勝ひとり旅”が止まる日まで、あくまでも淡々と過ごす。

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