サッカーW杯惨敗も“教材”に…他競技からも学ぶエディー改革

[ 2015年9月21日 09:00 ]

<日本・南アフリカ>試合を終え、円陣を組むジョーンズHC(中央)ら日本代表フィフティーン
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ラグビーW杯イングランド大会 1次リーグB組 日本34―32南アフリカ

(9月19日 ブライトン)
ラグビーW杯史上最大の番狂わせを起こした日本代表。その立役者の一人が、12年4月に就任し、大会後の11月1日付での退任が決定しているエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、55)だ。前例のない厳しい練習を課し、世界で通用する戦術を与えた指揮官だが、表に出ない部分でもこの日のために腐心した。W杯で過去1勝の日本を、なぜここまで強くできたのか。その一端をひもとく。

 「世界のトップレベルで指導歴があり、結果を残した人は、世界で20人くらいしかいない。その上で日本を知っている。実質的にはエディー1人だけだった」。1分け3敗で終わった4年前のW杯終了後、次期ヘッドコーチの選考を進めていた岩渕健輔GMは、そのような考えに行き着いた。

 03年W杯で母国オーストラリアを率いて準V。スーパーラグビーのブランビーズも頂点に立った。20年前に東海大でコーチ指導を始めその後もサントリーの臨時コーチとして毎年来日。この巡り合わせがなければ、南ア戦勝利もなかった。

 就任に当たりジョーンズHCが行ったのが、日本代表を指導してきたあらゆるコーチ経験者との対話だった。ラグビーだけでない。野球の09年WBCを侍ジャパン監督として連覇に導いた原監督、12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した女子バレー日本代表の真鍋政義監督。「ジャパンウエー」を遂行する上で、体格の劣る日本人を率いて世界で結果を残した指導者から多くを吸収した。

 失敗からも学んだ。昨年のサッカーW杯終了後、以前から親交のあった日本代表のザッケローニ監督の電話を鳴らした。「W杯前、欧州組のプレータイムが非常に少なく、それが本番に影響した可能性がある」と聞きつけた。今年、6人の代表がスーパーラグビーに所属したが、試合に出ていたのはリーチ主将だけ。実戦不足の5人の調子をいかに上げるか。あらかじめこの事態を想定し、世界的フィットネスコーチのディーン・ベントン氏の7月後半のスケジュールを押さえた。SH田中、WTB松島、No・8ツイ…。金星に貢献した選手たちは、まさにジョーンズHCの用意周到な準備によって、歴史に残るパフォーマンスを発揮した。

 ジョーンズHC自身が言う。「私はコーチだが、私自身が常に学び続けている」。13年10月、軽い脳梗塞で倒れたが、病室から指示を送った。比類なき指導者自身、進化し続け、情熱を燃やし続けたからこそ、日本に大金星がもたらされた。

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