日本代表 ラスト勝負のワケ エディーHC「引き分け選ばなかった主将称えたい」

[ 2015年9月21日 05:30 ]

<日本・南アフリカ>劇的な逆転勝利を収め、試合後気勢を上げる日本フィフィティーン

ラグビーW杯イングランド大会 1次リーグB組 日本34―32南アフリカ

(9月19日 ブライトン)
 W杯史上最大の下克上を起こした。日本代表は19日(日本時間20日未明)、1次リーグB組初戦で世界ランキング3位の南アフリカと対戦し、34―32で逆転勝利を収めた。3点差の試合終了間際に途中出場のWTBカーン・ヘスケス(30=宗像サニックス)が逆転トライ。オーストラリア出身のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(55)と勇敢な31人の選手が世界と日本のラグビー史にその名を刻んだ。23日(日本時間午後10時30分開始)の第2戦で世界ランキング10位のスコットランドと対戦する。

 こんな興奮を、かつて日本のラグビーが起こしたことがあるだろうか。後半43分56秒。インゴール左隅にヘスケスが飛び込んだ瞬間、確かにラグビーの歴史が動いた。選手は我を忘れて喜びを分かち合い、2万9290人の観客は言葉にならない声を上げた。勝利宣言してきたジョーンズHCでさえも、目の前の事実をすんなり受け入れることはできなかった。

 「本当に感慨深いとしか言いようがない。南アフリカを破るなんて、最後の結果が本当かどうかを疑った。選手たちは勇敢なんてもんじゃない」

 3点を追う残り5分が、4年間磨いてきた「ジャパンウエー」が試される時だった。自陣でのキック処理からランとパスを愚直につなぎ、相手陣内に進入。一つのミスも許されない状況で、激しいプレッシャーを受けながらも、実に19次攻撃でインゴールに迫った。

 その後のマイボールスクラムで相手が反則し、シンビン(一時退場)となった。ここでPGを選択すれば引き分けることはできたが「相手が1人少なかったし勝ちに行く気持ちだった」とリーチ主将。逆転勝利か敗戦か、究極の選択を迷いなく下すと、スクラムから右へ左へパスをつなぎ、歴史的トライにつなげた。

 ジョーンズHCは言った。「引き分けを選ばずに最後にPGを蹴らないことを選択したリーチの勇気を称えたい」。その勇気の源流がエディージャパンが積んだハードワークにあることは疑いようがない。世界の強豪に比べ小さな男たち。弱点を補うためボール保持にこだわり、簡単に相手にボールが渡るキックは極力使わない。何度もランニングを繰り返すフィットネス、緻密にボールをつなぐパススキル、そして痛みと恐怖心に打ち勝つ鋼の精神力。全てを融合させ「ジャパンウエー」を完成させ、24年ぶりのW杯勝利につなげた。

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