栃煌山 日本人全勝対決制し5連勝!好調要因はシンプル思考

[ 2015年9月18日 05:30 ]

稀勢の里(手前)を寄り切りで破る栃煌山

大相撲秋場所5日目

(9月17日 東京・両国国技館)
 関脇・栃煌山が大関・稀勢の里との全勝対決を制して5連勝を飾った。真面目な悩み深き男が師匠の助言でシンプル思考を身につけ大関“候補”から脱するチャンスをつかむ。平幕の嘉風が琴奨菊を寄り切り、2横綱1大関を撃破した。大関・照ノ富士は佐田の海を圧倒して全勝を守り、栃煌山とともにトップで平幕5人を含む7人が1敗で追う展開となった。

 日本出身力士の全勝対決は栃煌山が圧倒した。立ち合いは互いに右でおっつける形。辛抱できずに引いた稀勢の里の脇が空いたところをすかさず2本差し。一気に寄り切った。無傷の5連勝は09年初場所の8連勝以来。引き揚げた支度部屋で「途中で(相手が)引いてきたのが分からないけど。自分は低い体勢で(立ち合いは)よかった。前に出て勝っている」と頬を緩めた。

 好調の要因はシンプル思考だ。もともと生真面目な性格。師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)は「物事を突き詰めていくタイプで悩む時がある」と分析。気になる材料があれば、深く考え込んで調子を崩した。

 悩む材料を一つでも減らすべく、今場所前に師匠から発せられた助言が効いた。「シンプルにいけ!腹が決まってないんだよ」と言われた立ち合い動作の簡略化。以前は両足を開閉させ、にじるような動作だったが、今は一発で足の位置を決める。毎朝、稽古後に必ず居残って立ち合いを確認するものの、もはや考え込んで動きが硬くなる悩みとは無縁。「序盤戦で修正するのが多かったけど、今は決まってる」と明るい笑顔だ。

 関脇の名古屋場所で白鵬、鶴竜の2横綱を破る10勝。北の湖理事長(元横綱)は「白星を2桁に乗せれば、次(の九州場所)がチャンスになる」と今場所は大関獲りの足場固めという認識。だが、このまま白星を伸ばして06年初場所の栃東以来となる日本出身力士優勝となれば、秋場所後の大関昇進の機運さえ一気に盛り上がるはず。大関昇進の条件は「三役で3場所合計33勝以上」が目安とされる。全勝で突っ走れば、3場所合計33勝になる。「まだ5日目ですよ」。本人はあくまで平常心を強調。同学年の大関・稀勢の里、豪栄道に追いつく戦いがこれから本格化していく。

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2015年9月18日のニュース