嘉風 綱連破 “あげ家族”効果で“本命不在”秋場所の主役だ

[ 2015年9月16日 05:30 ]

長男・凌聖くん(右)を抱き、長女・梨愛ちゃん(左)からの祝福のキスに目を細める嘉風

大相撲秋場所3日目

(9月15日 両国国技館)
 ベテランが連日の金星ゲットだ。西前頭筆頭の嘉風が鶴竜を押し出し、2日目の白鵬戦に続いて横綱を撃破した。2日連続の金星獲得は14年名古屋場所で5日目に鶴竜、6日目に日馬富士を破った大砂嵐以来となった。横綱・白鵬は左脚の負傷によりこの日から休場。“本命不在”となった秋場所で、33歳が存在感を示した。
【3日目取組結果】

 連日の座布団シャワーに嘉風が酔いしれた。白鵬の休場により、結びで勝ち名乗りを受けた。この日の白鵬の取組に懸けられていた懸賞34本のうち23本分が鶴竜戦に変更となったため、37本(手取り111万円)の懸賞もゲット。引き揚げた支度部屋では「誰も自分が2日続けて横綱に勝つとは思ってなかったでしょ!」と無邪気に笑った。

 立ち合いで押し込まれながら、1人横綱となった鶴竜の引きに乗じて逆襲した。一気に土俵際へ追いつめ、そのまま押し出した。「体がうまく次々に動いて、下から攻めた。いい相撲が取れた。全部出し切れた」。取り口と同じく、コメントも滑らかだ。

 白鵬戦初勝利の余韻を最高の形でつなげた。前夜はテレビ各局のニュース番組を“はしご”して、映像を目に焼きつけた。「浮かれるんじゃなくて、ほどよい高揚感があって、まだ夢見てるみたい」の状態で土俵に上がった。そして家族も験を担ぐ。白鵬を破った2日目に国技館へ駆けつけていた愛夫人(36)と長女・梨愛(りな)ちゃん(6)に加え、この日は長男・凌聖(りょうせい)君(1)も来場。一家の大黒柱は「“あげまん”ならぬ“あげ家族”なんです。それを証明できてよかった」とドヤ顔だ。

 愛夫人も夫の琴線に触れる言い回しでもり立てる。「(まだ1歳の)凌聖が相撲を分かるようになるまで頑張って」「子供たちが見ていて、のめり込むような相撲を取って」。そんな励ましを受けた嘉風は「師匠や家族、いろんな人に支えられています」と感謝を忘れない。結果にとらわれず、いい相撲で周りの人を笑顔に――。4日目の大関・照ノ富士戦も同じ気持ちで土俵に上がる。

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