桐生「復活きっかけ」V!不満10秒19も…9秒台へ再出発

[ 2015年9月13日 05:30 ]

100mで優勝した桐生はスタンドに向かってガッツポーズ

陸上日本学生対校選手権第2日

(9月12日 大阪・ヤンマースタジアム長居)
 リオへ、9秒台へ再出発――。男子100メートルで日本歴代2位の10秒01の記録を持つ桐生祥秀(19=東洋大)が10秒19(追い風0・5メートル)で走り、右太腿裏肉離れからの復帰戦Vを果たした。5月15日の関東学生対校以来4カ月ぶりの実戦で圧勝し、大会初制覇。完全復活への一歩を踏み出した。

 追い風参考とはいえ、一度は9秒87を出している桐生だ。“故障なく勝つ”という復帰戦の目的をクリアしたことに「ホッとした」と安どする一方で満足感はなかった。

 「(10秒)19なんかで復活とは言えない。復活するきっかけになったことは良かった」

 5月末に右太腿裏肉離れを起こし、世界選手権出場への道が閉ざされた。今年最大の目標を失ったショックの大きさを、土江コーチは「去年も故障はしたが、今年は一番大事なところでの故障。去年よりつらかったと思う」と推し量る。体の痛みは引いても心の傷は癒えない。7月末の練習再開後に訪れた世界選手権。悔しさから、部屋で一人でテレビを見る気にはなれなかった。

 苦難の時を経て戻ってきた100メートルの舞台は予選から1レースごとにタイムを上げ、決勝は2位以下を引き離す圧勝だった。ゴールの瞬間はタイムを見る余裕があった。「日本の学生に負けてたら何を言っても雑魚(ざこ)いし、ヘボい。1番になれてよかった」

 来年のリオデジャネイロ五輪の参加標準記録(10秒16)は惜しくも届かなかったが、「次はスキッと切りたい」と、切り替えた。今大会は、スパイクを履いての本格練習はこの1週間だけと、仕上げらしい仕上げをしてこなかった。上積みの余地はあり余るほどある。

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