報道陣が喜んだ…シャイな岩田寛が放った練習場での言葉

[ 2015年9月10日 10:30 ]

味わい深いコメントが魅力の岩田寛

 最近、岩田寛(34=フリー)の話を聞くのが楽しみでしようがない。シャイな性格。じょう舌ではない。ただ沈黙を挟みつつ絞り出す言葉は何ともユニークで味わい深い。岩田の囲み取材にはいつも笑いがある。

 8月の全米プロの練習日のコメントが印象に残っている。来季の米ツアー参戦を目指す岩田。英語の習得度合いを訪ねられると「勉強したい。まだ、してないけど」と答えた後「俺、英語を話せたら無口じゃないっすよ」と自信満々に付け加えた。「英語が話せたからといって性格は変わらないよ」と思いながら笑いをこらえ切れなかった。

 全米プロでは第2ラウンドでメジャー最少タイの63をマークした。米国のメディアも大騒ぎだったが、この時も「正直あまり興味ない。1日だけのことなんで」と肩すかしを食らわせた。といっても全く嫌みはない。自分の気持ちに正直なだけ。すぐに「でも、まずいですよね。なんかきれいな言い方ないですか?」と取り繕うあたり憎めないキャラクターなのだ。

 その前日の第1ラウンドはドライバーショットが大荒れで77をたたいた。ホールアウト後は「(取材は)後でいいですか」と言い残し練習場に直行した。最後の1人になってもドライバーを振り続ける岩田を、日本の報道陣も見守っていた。

 練習が終わったのは1時間半後の午後7時55分。既に日は暮れていた。長時間の練習でもショットは修正できなかった。いらだちはあったはずだが、岩田は取材に応じた。そして最後にこう言った。「遅くまでありがとうございました」。

 新聞記者がこんな感情を持つことは良くないことなのかもしれない。でも、その一言を聞いて「待っていて良かった」と思ったし、心の底から応援したくなった。だから翌日の快挙は身内のことのようにうれしかった。

 岩田は、10日から始まる米ツアーの入れ替え戦に参戦する。4試合を戦い賞金ランク上位に入れば来季の米ツアーの出場権が与えられる。厳しい戦いだが、勝ち抜いてほしい。そして米ツアーでも味のあるコメントを残してほしい。もちろん、いつかは英語で。

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