白鵬も困惑…熊ケ谷親方、暴行逮捕 運転手の男性を金属バットで

[ 2015年9月3日 05:30 ]

向島警察署から移送される熊ケ谷親方こと山村和行容疑者

 警視庁捜査1課は2日、知人男性(31)に暴行したとして傷害の疑いで、大相撲の宮城野部屋(東京都墨田区)の部屋付き親方を務める熊ケ谷親方(元十両・金親)こと山村和行容疑者(45)を逮捕した。同部屋には横綱・白鵬が所属。5場所15日間連続満員御礼が濃厚の秋場所(13日初日、両国国技館)まで2週間を切った中でのトラブル発生に、横綱も相撲協会もただただ困惑するしかなかった。

 秋場所で36度目の優勝を狙う白鵬にとっても、人気回復で右肩上がりの相撲協会にとっても、とんだ災難が起きてしまった。熊ケ谷親方は名古屋場所期間中の7月23日から27日に名古屋市内のマンション一室などで男性の腰などを金属バットで数十回殴るなど暴行。約2週間のケガをさせた疑いで逮捕された。暴行された男性は一般人で、親方が個人的に送迎やスケジュール管理を担当させていた。捜査1課によると親方は「間違いなく私がしてしまったことです」と容疑を認めている。

 熊ケ谷親方は、現役引退した04年に元宮城野親方(元小結・広川)の娘婿となって部屋を継承。当時関取に昇進したばかりの白鵬らの師匠を務めた。だが、八百長の存在を知人の女性に告白したなどと週刊誌に報じられ、10年に相撲協会から師匠交代を勧告され、部屋付きに。以降、白鵬が入門した当時の師匠だった元幕内・竹葉山が再び部屋を指揮している。

 宮城野部屋は耐震性の問題が生じて移転が決定したばかり。秋場所初日(13日)から新しい稽古場が整う予定だが、場所前は出稽古中心で所属力士は調整に不安を残す。それでもこの日朝、白鵬は浅香山部屋で汗を流し「あちこち部屋を替えて。環境が変わった方がいい」と充実の様子だったが、逮捕を知った夕方は「びっくりしています」と困惑。師匠の宮城野親方は「申し訳ありません」と謝罪し「部屋付き親方が運転手をつけること自体がおかしいと(本人に)何回も言ってきた」と無念そうに話した。

 相撲協会は「捜査状況を確認し、危機管理委員会にて対応します」とコメント。北の湖理事長(元横綱)は「残念だ」と漏らした。熊ケ谷親方は10年の問題の際に協会に提出した始末書で、再度の不祥事の場合は解雇処分も受ける覚悟を示しており、厳罰が下されてもおかしくない。人気も回復し、不祥事のイメージから脱却していた角界に水を差した事実は重い。

 ◆角界の主な暴行騒動

 ▽07年6月 時津風部屋の序ノ口力士・時太山が愛知県犬山市の宿舎で暴行を受けて死亡。当時師匠の時津風親方(元小結・双津竜)は同年10月に解雇された。

 ▽10年1月 横綱・朝青龍が初場所中に六本木で泥酔して知人男性を暴行。場所後に横綱審議委員会から引退勧告を受け、最終的には自ら責任を取って引退した。

 ▽10年10月 幕下格行司・木村林之助(当時)が妻子に暴行しケガを負わせたとして傷害罪などで執行猶予付きの有罪判決。同年11月の九州場所から2場所の出場停止処分が科された。

続きを表示

この記事のフォト

2015年9月3日のニュース