なぜ撤回 五輪エンブレム 起死回生狙った原案公開で墓穴を掘ることに

[ 2015年9月2日 07:38 ]

都庁に貼られた東京五輪エンブレムのポスターが職員の手ではがされる

 2020年東京五輪・パラリンピック大会の組織委員会は1日、ベルギーのリエージュ劇場のロゴに似ているなど、さまざまな盗用疑惑が取りざたされていた佐野研二郎氏(43)デザインの大会エンブレムを撤回することを決めた。新国立競技場の白紙撤回に続き多額の捨て金が生じることになり国際社会での日本の五輪イメージが地に落ちる事態となった。

 先月28日に組織委が原案を公開してから4日で、事態は急転した。決め手になったのはやはり“パクリ”疑惑だった。組織委が危機的局面と判断したのは、原案公開から一夜明けた同29日。佐野氏がエンブレム活用例のイメージ画像について、インターネット上の他人のサイトから無断流用したとの疑惑が浮上した。翌30日には、原案が13年に開催された活字デザインの巨匠ヤン・チヒョルトの展覧会ポスターと類似しているとの指摘があった。佐野氏はチヒョルトの展覧会に足を運んでいた。

 1日午前、組織委は佐野氏と案を選んだ審査委員の代表永井一正氏を交えた三者で協議。佐野氏に事情を聴いたところ、イメージ画像の無断流用を認めた。批判の声に耐えかねて起死回生を狙った原案の公開が、結果的に墓穴を掘ることになった。

 佐野氏はこの場で「模倣ではない」とあらためてベルギーの劇場ロゴや展覧会ポスターの盗用を否定した上で「いまや国民に受け入れられない」と伝え、権利を所有する組織委に使用中止を申し入れた。その後、臨時の調整会議が開かれ、正式に決定。パラリンピックのエンブレムも取り下げた。武藤事務総長が同日夕、佐野氏不在のまま記者会見を開き経緯を説明。今後のエンブレム案について詳細は未定だが、再度公募する。

 エンブレム騒動の要因は組織委のリスク管理の甘さと、後手に回った対応。組織委は使用中止を「大会を成功に導くため」と強調したが、日本の国際的な信用に大きな傷がついたのは間違いない。

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