お相撲さんって粋なんです 土俵の外で見せる素顔に“虜”に

[ 2015年9月2日 14:20 ]

 大相撲の取材をしていると「お相撲さんって粋だなぁ」と思うことが多々ある。ちょんまげに和装という身なりはもちろん、人情の機微を理解した振るまい一つ一つをとっても、古き良き日本人の姿が見え隠れする。

 先月、夏巡業取材で地方に出向いたとき。記者仲間と街で夕食を取っていると、ある幕内力士3人衆がのれんをくぐって入ってきた。本場所中いつも口数少ない関取が「よぉ!」とガラッと扉を開け、後ろに続いた2人も「お疲れさんです」とほろ酔い気味。どうやら、別の店で食事をしていた3人は同じビル内に記者がいると聞きつけ、わざわざ顔を出してくれたようだった。大きな体に色とりどりの浴衣を着こなすまげ姿だけでも場は華やいだが、サービス精神旺盛な立ち振るまいに、お店のおかみさんも「お相撲さんが好きになりました」と瞬く間に虜(とりこ)になっていた。

 しばらくして3人は次なる戦場を求めてさっそうと夜の街へと消えていった。だが、その数分後。付け人だけが忘れ物をしたかのように店内に戻ってきた。「どうしたの?」と尋ねると「関取がこれでビールを、と」と手には酒代が…。申し訳ないといくら断っても「いや関取が」とらちが開かない。急いで外へ出ても関取衆はもういない。翌朝の取材先で返すのも野暮(やぼ)だと思い、ありがたく美酒をちょうだいしてしまった。

 翌朝。関取衆は土俵上でいつもと変わらぬ様子で稽古を行い、前日のお酒を汗にして流していた。きっと今夜も街へと繰り出し、粋な振る舞いを見せるのだろう。夜は豪快に食べて飲んで、朝は稽古にまい進。そんなお相撲さんの気質は、いつの時代も変わらないでいてほしい。巡業取材は力士の素顔をのぞくことができる貴重な機会である。「きのうは何を食べましたか?」「どんな飲み方をしましたか?」。地方で尋ねる相撲記者の質問もまた、永遠に変わらないだろう。(大相撲担当・鈴木 悟)

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