織田裕二さんの笑顔は、僕のAll my treasures

[ 2015年8月30日 09:20 ]

第1子となる男児が誕生した織田裕二

 あんなに緊張したのは、いつ以来だろう。7月某日、僕の心拍数はかなり上昇していた。これまでアスリートのインタビューは何度もしてきたけれど、俳優は初めての経験だ。相手は織田裕二さん。陸上・世界選手権関連の取材だった。決戦前夜、走っても走ってもゴールにたどり着かない100メートルの夢を見て、僕は激しくうなされた…。

 当日、30分間の“マッチレース”の号砲が鳴る。スタートから間もなく、こちらの緊張は一気にほぐれた。織田さんが、さわやかなスマイルを浮かべて取材に応じてくれたから。あのテーマソングの歌詞を僕は全身で理解した。「あなたが笑ってくれる それだけが僕のAll my treasures」――。あの日、僕にとっての「あなた」は確かに「織田さん」だった。

 男子100メートルで銅メダルを獲得したブロメル(米国)らを注目選手に挙げるだけではなく、10代の頃に見て感動した映画の話題も出た。インタビュー時間は30分を超えた。次の予定もあるのだろう。関係者の視線が突き刺さる。「なるべくストレートに見て、まっすぐに伝えたいですよね」。この言葉でフィニッシュラインに到達した。

 30日、世界選手権は最終日を迎えた。07、09、13年は現地にいたからテレビを見られなかったけれど、この夏は日本で別の取材をしている。時間が許す限り、テレビで世界選手権を見た。そこには、あのスマイルを浮かべ、陸上をストレートにまっすぐに楽しむ織田さんがいた(大会後半は少し疲れがにじんでいた気もするが…)。

 今大会でTBSのメーンキャスターは10回目。豊富な知識、あふれる陸上愛、ほとばしる熱情。全てを兼ね備えた織田さんは世界選手権と不可分な存在として、これからも現場にいるだろう。20年東京五輪、テレビ中継に薄っぺらな知識しか持たず、騒がしいだけの芸能人は必要ない。織田さんのような“本物”なら、僕は歓迎する。(杉本 亮輔)

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