おそロシア…アウェーの洗礼 カザニ世界水泳取材の裏舞台

[ 2015年8月28日 10:45 ]

 アウェーの洗礼を乗り越えて、人は強くなると肌で感じた。ロシア・カザニで行われた水泳の世界選手権(9日閉幕)の取材は、貴重な経験だった。

 イスタンブールでの乗り換え便が遅れ、現地の空港に到着したのは成田を出発してから23時間後の午前3時。バスに乗ってホテルに到着するまでの間は少し眠りたかったが、空港を離れた直後に仰天して目が覚めた。窓をのぞくと道路の脇で兵士が地雷探知機のような機械を持って何かを探しているではないか。日本では、まず見ることのない物騒な光景。先制ジャブにしては強烈なインパクトだった。

 ここからが驚きの連続だ。ホテルのエレベーターは、ドアの開閉が非常に遅く、扉も狭い。いつものタイミングで乗り込もうとすると、肩がぶつかってしまう。業を煮やして6階の部屋まで毎回階段を使ったのだが、段差が違う。特に最後の一段が極端に低く、ずっこけた。シャワーは蛇口をひねると水が茶色い。蛇口を閉めたら、浴槽には砂が残る。係員に訴えたが、鼻で笑われた。

 会場入りの際は、手荷物検査が行われ、パソコンと携帯電話の電源を入れて係員に見せなければならない。未開封のペットボトルまで機械を当てて調べられ、男たちがカバンの中をのぞき込む徹底ぶりだ。ある記者は、たばこを取り上げられ「帰りに取りに来い」と言われたが、あるはずもない。門の脇の喫煙所で、警備員が見覚えのあるたばこをプカプカと吸っているのだ。

 驚きはさらに続く。タクシー運転手は乱暴なハンドル操作の上、領収書を簡単に出さない。レシートを売りつけようとした、ちゃっかり者もいた。バスの運転手はラジオから流れる曲に合わせ、鼻歌交じりにハンドルを握り、不注意で縁石に乗り上げ、あわや横転しそうな危機もあった。

 まったく「恐(おそ)ロシア」な出来事が続いたが、現地の親切な人たちとの交流もあっただけに、今では懐かしい思い出だ。チェックアウトする8月10日に「メールで送るから」と言われたホテルの領収書。一体、いつ届くのだろうか。(宗野 周介)

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