永瀬 男子81キロ級初の金!「勝てると証明できた」

[ 2015年8月28日 05:30 ]

柔道の世界選手権男子81キロ級で優勝、表彰式で金メダルを手にする永瀬貴規(AP)

世界柔道第4日

(8月27日 カザフスタン・アスタナ)
 男子81キロ級の永瀬貴規(21=筑波大4年)が昨年王者で第1シードのアフタンディリ・チリキシビリ(ジョージア)を準決勝で撃破。決勝でも一本勝ちし、初優勝を飾った。現行の階級制度となった99年以降では、日本男子としてこの階級を制したのも初めて。

 左手で汗を拭った顔には、少しだけ笑みがあった。81キロ級決勝。昨年大会の3位決定戦で敗れたピエトリの一瞬の隙を突いて抑え込んだ。現行区分となった99年大会以降、世界選手権では日本勢が唯一勝ったことがない階級。今大会最多タイの76選手が集まった激戦区で頂点に立った永瀬は「今までやってきた成果が出て良かった。今まで世界で勝てないと思われていたが、81キロ級で勝てると証明できた」と充実感を口にした。

 永瀬自身も昨年の初出場は、高い壁に阻まれた。優勝したチリキシビリに準々決勝で敗れ、ピエトリに得意の内股を返された技ありで敗れた。「1日に2回も負けて、悔しさしか残らなかった」という経験を糧に一回りたくましくなった。昨年12月のグランドスラム東京で優勝。世界ランク上位16人で争う5月のマスターズ大会も制した。

 さらに6月の全日本学生優勝大会では筑波大の主将として初優勝に大きく貢献。特に東海大との決勝では2勝2敗の五分で迎えた代表戦を任され、2階級上の100キロ級の相手を打ち破った。体重無差別の全日本選手権で昨年3位になったように、海外勢のパワーにも負けない身体の力の持ち主。「自分よりも大きな相手と試合をして勝ちを得て、多少なりとも地力がついてきている。大事な場面で競り勝てて自信につながった」と精神面でも一皮むけた。

 2度目の世界選手権に向けて、金丸雄介コーチからは「前回は死にきれなかった。今回は死にに行こう」と強く説かれてきた。結果は前回大会で苦杯を喫した強豪に次々とリベンジを果たして、世界の頂点に立った。長い手足に切れ味鋭い足技、そして勝負どころでの寝技。「ここからが本当の勝負。自分がこの階級で頑張り、来年の五輪で金メダルを獲りたい」と話す21歳に流れるのは、間違いなく武士の魂だ。

 ◆永瀬 貴規(ながせ・たかのり)1993年(平5)10月14日、長崎県生まれの21歳。6歳で競技を始め、長崎日大高2年時には高校選手権81キロ級優勝。筑波大2年時の13年にはユニバーシアードで金。昨年は体重無差別の全日本選手権で3位に入った。1メートル81。得意技は内股。組み手のうまさは一級品。来春、旭化成に入社予定。

 ▼日本男子・井上康生監督 81キロ級は私が監督に就任後、一番苦しんでいた階級。永瀬はこの1年で非常に成長した。これで五輪はチャンピオンとして全世界から注目、研究もされる。どうやって勝つかを考えていく。

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