五輪エンブレム 原案を修正と審査委員代表「原案は似ていなかった」

[ 2015年8月26日 11:00 ]

佐野研二郎氏

 2020年東京五輪の公式エンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ていると指摘されていた問題で、エンブレムの審査委員代表を務めたグラフィックデザイナーの永井一正氏(86)が26日、制作者佐野研二郎氏(43)の原案は「劇場のロゴとは似ていなかった」と証言した。原案は他の商標と似ている点があったため、修正され今の形に決まったという。

 永井氏によると、佐野氏の原案は「東京」の頭文字「T」を図案化したもので、ベルギーの劇場名の頭文字「L」を想起させるエンブレム右下の部分はなかった。その後、商標登録に向け大会組織委員会と佐野氏が協議し、他の商標との類似を避けるために複数回にわたってデザインを練り直す中で、最終的に「L」にも見えるデザインが盛り込まれたという。

 永井氏は「ベルギーのデザイナー側は盗作と言っているが、佐野氏の原案とは似ていないし、コンセプトも成り立ちも全く違う」としている。これまで大会組織委から、選定の経緯について発言しないよう指示されていたという。「応募作はすばらしいものがたくさんあった。全作を公開し、審査過程も公表してほしい」と語った。

 一方で、佐野氏が手掛けたサントリービールのキャンペーン商品に描き写しがあった問題については「盗作だろう。売れっ子なので、事務所スタッフの仕事の全てに目を通せなかったのだと思う。自分の名前で受けた仕事は責任を持って、デザインの過程まで把握すべきだった」と話した。

 エンブレムは昨年11月の審査会で審査委員8人が投票。104点から入選作3点を選び、委員の議論を経て佐野氏の原案に決定した。

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2015年8月26日のニュース