後任候補に清宮氏浮上 日本代表エディーHCがW杯後の退任発表

[ 2015年8月26日 05:36 ]

日本代表HCの後任候補に挙がるヤマハ発動機の清宮監督

 日本ラグビー協会は25日、東京都内で緊急会見を開き、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、55)が9月開幕のW杯イングランド大会終了後の11月1日に退任すると発表した。12月31日までだった当初の契約期間を前倒しする。世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」に新規参入する日本チームのディレクターも退任する。26日にはSRのストーマーズ(南アフリカ)の来季ヘッドコーチ就任が発表される見込み。後任候補にはヤマハ発動機の清宮克幸監督(48)らが挙がっている。

 ジョーンズHCは代表合宿中の宮崎で「意思が固まり始めたのはこの3、4週間。(続投を)考えたことはある。ただ、自分がオーストラリア代表監督をした時の経験から、代表監督は4年で十分(と感じた)」と退任の理由を説明。この日のミーティングで選手にも自分の思いを伝えた。

 会見を行った日本協会の坂本典幸専務理事によると、退任の申し出があったのは20日。当初12月31日までの契約を前倒ししたのは「新しいチャレンジをするため」と語ったという。ストーマーズとの契約発表前に筋を通したものとみられる。

 03年W杯で母国オーストラリアを準優勝に導き、世界的名将として知られるジョーンズHCは、就任2年目の13年6月にはウェールズに勝利。昨年11月にはテストマッチ11連勝の新記録を達成した。ただW杯まで1カ月を切った時期の退任発表は、選手の士気にも影響する。同専務理事は「本来であればW杯が終わってからの発表が筋。(影響は)ないとは言い切れない」とした。

 ジョーンズHCは以前から「日本開催のW杯は日本人の監督が率いるべき」と話していた。一方で指導力の他にもSRの新規参入や、日本人選手のSRクラブ入りを主導した手腕は高く評価されており、協会内でも続投を推す声があった。そんな中での退任劇はディレクターを務めるSRのチームづくりが遅々として進まず、協会に不信感を持ったことも一因だ。

 後任人事は「全く未定」(坂本専務理事)も、世界と日本のラグビー両方を熟知し、実績を残す指導者を中心に人選するとみられる。パナソニックのロビー・ディーンズ監督(55)の名前が挙がるほか、今年3月に日本記者クラブでの会見で「名乗りを上げる」と事実上の立候補をしたヤマハ発動機の清宮監督も有力な候補。

 いずれにしてもW杯開幕まで23日。4年間の集大成となる大会を前に、日本ラグビー界が大きく揺らいだのは間違いない。

 ◆エディー・ジョーンズ 1960年1月30日、オーストラリア・タスマニア州生まれの55歳。現役時代はフッカーで、同国代表歴はなし。96年に東海大でコーチを始め、01年にはスーパー12(現スーパーラグビー)のブランビーズを率いて優勝。同年からオーストラリア代表監督に就任し、03年の自国W杯では準優勝。07年には南アフリカ代表のアドバイザーとしてW杯優勝を経験した。サントリー監督などを経て、12年4月から現職。父がオーストラリア人、母が日系米国人2世。

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