世界が16歳に驚いた!サニブラウン準決進出 同組ガトリンも称賛

[ 2015年8月26日 05:30 ]

男子200メートル予選、米国のガトリン(右端)らと同組で見事に準決勝進出を決めた16歳サニブラウン

世界陸上第4日 男子200メートル

(8月25日 中国・北京 国家体育場)
 男子200メートルで同種目の大会最年少出場(16歳172日)となったサニブラウン・ハキーム(東京・城西高2年)が予選4組の2位で準決勝に進んだ。100メートル&200メートルの今季世界ランク1位のジャスティン・ガトリン(33=米国)に次ぐ順位で、自己ベストに0秒01差の20秒35をマークした。26日の準決勝を突破し、“ボルト超え”となる大会最年少決勝進出を目指す。藤光謙司(29=ゼンリン)、高瀬慧(26=富士通)も突破し、史上初となる日本勢3人が準決勝に進んだ。

 末恐ろしい高校2年生だ。予選4組は4人による2着争い。際どい勝負となったが、サニブラウンはフィニッシュの瞬間、内側のレーンをパッと見た。レース後にその動きについて聞かれると「横を向いて余裕はあったと思います」と言ってのけた。初出場とは思えぬ強心臓。世界の強豪を相手に準決勝に進んだ。

 初体験の大外9レーンから飛び出した。30センチの大きな足と身長1メートル87の大きなストライドで先頭を走った。今季世界最高の19秒57をマークし、100メートル銀メダルのガトリンには直線で抜かれたが、後半に伸びて前回モスクワ大会4位のアシュミード(ジャマイカ)はかわした。持ちタイムが同組4番目という戦前の不利予想をはね返した。

 大舞台で力通り走ることがどれだけ難しいことか。ガトリンでさえ、100メートル決勝のゴール寸前で力んでもたつき、ボルトを仕留めるチャンスを逸した。この16歳は「ちょっと緊張したけど、普通の走りができました」と重圧とは無縁。無風という条件の中、自己ベストに0秒01と迫る20秒35の好タイムで走った。これにはガトリンも「私の走りは遅かったが、サニブラウンがかなり押し上げた。驚くべき若者だね。16歳で準決勝なんて信じられない」と称えた。

 初めての年齢制限がない日本代表でもマイペースを貫いてきた。ホテルで同部屋の藤光は普段の姿をこう評した。「普通の16歳は先輩と一緒なら遠慮するところもあるが、堂々と先頭を歩くタイプ。度胸が据わっている」。この物おじしない性格が、7月の世界ユースでの100&200メートルの2冠につながった。200メートルはボルトの持つ大会記録を更新する快挙だった。自ら「結構、おおざっぱ。メンタルは弱くない」と分析する性格は誇張ではない。同じ99年生まれには野球のU―18ワールドカップ高校日本代表の清宮幸太郎(早実)がいるが、リトルリーグ世界一になった和製ベーブ・ルースに続き、世界に名をとどろかせた。

 26日の準決勝は再びガトリンと同組だ。ここを突破すれば、05年にボルトが記録した18歳355日を抜き大会最年少決勝進出となる。03年銅メダルの末続以来となる日本勢ファイナリストになるには各組2着までと3着以下のタイム上位2選手に入らなければならない。その道は険しいが、言葉は力強い。「ラストはフォームがバラバラ。タイムはもっと出る気がする」。軽々と壁を越えていくこの男なら、何が起きてもおかしくない。

 ◆サニブラウン・ハキーム 1999年(平11)3月6日、福岡県生まれの16歳。父はガーナ人で母は日本人。小3でサッカーから陸上へ転向し、東京・城西高1年の昨年、国体少年男子Bで高1歴代最高の10秒45で優勝。今年1月に20年東京五輪を見据えた日本陸連の若手強化選手「ダイヤモンドアスリート」に認定された。6月の日本選手権は100、200メートルとも2位。7月の世界ユース選手権(コロンビア)で100メートル10秒28、200メートル20秒34と、いずれも大会新で2冠に輝いた。1メートル87、74キロ。

 【男子】▽200メートル予選「4組」(1)ガトリン(米国)20秒19(2)サニブラウン(城西高)20秒35(3)アシュミード(ジャマイカ)20秒40(4)ヌカナタ(ケニア)20秒43※3位までが準決勝進出

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