男子マラソン藤原&前田“冷たい”新兵器導入でリオ1号必ず

[ 2015年8月22日 06:25 ]

笑顔でサインを指さす藤原

 日本マラソン界が新兵器を導入することが21日、分かった。陸上の世界選手権が22日に北京・国家体育場で開幕。大会最初の種目の男子マラソンに出場する藤原正和(34=ホンダ)と前田和浩(34=九電工)の2人は、手のひらを冷やすことで体温の上昇を緩やかにする効果が期待できる「コアコントロール」で暑さ対策。真夏の北京路を駆け抜け、今大会のリオ第1号を決める。

 リオ切符の懸かる大舞台を前に藤原と前田は午前中に北京市内を走り、最終調整をした。藤原は「日本人としての粘りをどれだけ見せられるか」と語っており、前田は「後半のペースアップを頭に入れて練習してきた」と、そろってレース終盤の奮闘を誓う。目指すは入賞だが、もちろん、その先の表彰台も見据えている。

 この2人を後押しすべく、世界と戦うための新兵器が日本マラソン界に導入された。「コアコントロール」は、米国製の最新機器。くじ引き箱に手を入れるようにしてこの装置を手にはめると、手のひらが冷やされるという仕組みだ。日本陸連の宗猛男子マラソン部長が、その効果を説明した。

 「腕の末端に圧をかけながら氷水を循環させる器械です。これを使うと体温の上昇が抑えられます。これをした上で、レース中に給水で水をかぶって体を冷やしながら走ると効果が高いんです」

 使用するのは「ウオーミングアップ後、スタートの10分前」(宗部長)。宗部長によると、合宿などで使用した際に数値的な裏付けがあったという。手のひらを冷やすことで体の火照りを抑え、効率のいい走りを生み出すことが期待できる。

 この日の北京は気温32・8度で日差しが強かった。レースがある22日も気温30度近くなる予報が出ている。湿度も70%以上となる見込み。午前7時35分のスタートとはいえ、ランナーとしては過酷な条件に見舞われるのが目に見えている。ベテラン2人には、この新兵器が強力な援軍となりそうだ。

 シドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋尚子さんも現役時代に「コアコントロール」を使用。ただし、練習後や試合後に使い、目的は「治療や疲労回復」だったという。レース前に使用する点に注目し「画期的な取り組み」と評価。今後の真夏のレースに向けて「暑さ対策になるのでは」と、期待を寄せた。

 藤原と前田。8位入賞をした上で日本人対決に先着をした方が、来年のリオデジャネイロ五輪出場に当確ランプをともす。新兵器効果で外国勢の分厚い壁を打ち破る。

 ▽リオデジャネイロ五輪のマラソン選考 日本は男女ともに3枠があり、今大会で8位以内に入った日本人最上位は内定。秋以降にある国内の選考3大会はそれぞれ日本人3位以内に入った選手が選考対象となり、日本陸連が設定した記録(男子2時間6分30秒、女子2時間22分30秒)を突破した選手がいれば1人を優先的に選出。残りは順位やレース展開から総合的に判断する。

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