“まくりの香生子”18歳女王を生んだ後半勝負の戦略

[ 2015年8月9日 05:30 ]

女子200M平泳ぎで、金メダルを獲得した渡部

水泳世界選手権第16日

(8月8日 ロシア・カザニ)
 7日の女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した渡部香生子(18=JSS立石)が、16年リオデジャネイロ五輪金メダルに向けて動きだす。出場権を獲得した18歳は来年4月の五輪選考会にピークを合わせる必要もなく、精神的な焦りもない。夢舞台開幕までの1年間で、金メダルボディーを完成させる。同日の男子200メートル平泳ぎは小関也朱篤(23=ミキハウス)が2分9秒12で5位。8日の日本勢はいずれも予選で敗退した。

 日本人最年少Vの裏側に、確かな戦略があった。決勝前日の6日、国立科学スポーツセンターの分析班が前回女王のペデルセン(デンマーク)と渡部の最後50メートルの時計を比較。先行型の相手は予選37秒36、準決勝37秒55。竹村コーチは「香生子はへばっても36秒7ぐらい」と実績から想定し「相手が前にいたら、しっかりその後を付いていけ。残り150メートルで離され過ぎないように。並んでいたら勝てる」と助言していた。決勝は150メートルで体半分リードを許したが、最後の25メートルで並び一気に逆転。勝負に徹した試合プランが結実した。

 優勝で16年リオ五輪出場が内定。五輪選考会が行われる来年4月にピークをつくることなく、1年間かけてじっくり調整できる。「準備ができる期間がたくさんあるので、本当に悔いなくオリンピックまで準備できたらいい」と覚悟を決めた。

 女子200メートルバタフライで金メダルの星と渡部は試合直前までスペインで高地合宿を行った。標高2300メートルの低酸素状態で持久力を鍛えた。竹村コーチは「山から下りて200メートルを2回泳いだ時(渡部は)非常に楽と言っていた」という。結果が示したように、リオ五輪も直前に高地合宿を行うことが考えられる。足をムチのようにしならせた天性のキックに加え、最近は上半身を強化。かつての北島ばりに“4輪駆動”へ進化する中、高地合宿をプラスすることでハイオクの燃料を積んだ“スーパーカー”に変身する。

 競技生活で一番つらかった過去を、渡部は「ロンドン五輪が決まってから記録が伸び悩んだ時」と話している。竹村コーチによると、今回の試合直前まで行った欧州遠征でも、思うように体が動かない時には「ちょっとイライラすることが多い」という。気持ちの浮き沈みがある18歳には、ゆとりを持ってコンディションをつくれるメリットは大きい。日本を出発して2カ月以上が経過。ようやく終わりも近づいてきた。「一番何がしたいっていったら、お母さんのご飯が食べたい。何でもいいです」。日本で待つ家族の笑顔が、再び頂点を目指す原動力となる。

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