星奈津美 金メダルまでの紆余曲折 すがる思いで門叩いた“再生工場”

[ 2015年8月7日 07:40 ]

女子200メートルバタフライで金メダルを獲得し、ガッツポーズの星奈津美(AP)

水泳世界選手権第14日

(8月7日 ロシア・カザニ)
 12年ロンドン五輪銅メダルの星奈津美(24=ミズノ)が2分5秒56で優勝した。五輪、世界選手権を通じ、女子200メートルバタフライでの日本人の金メダルは初の快挙となった。

 世界一までには紆余(うよ)曲折があった。埼玉・春日部共栄高1年時の3月、「疲れた」と漏らすことが多くなり、母・真奈美さんが病院へ連れて行くと、甲状腺の病「バセドー病」が発覚した。母は「泳げなくなるかもしれない」と心配したが、薬で病状は安定。競技再開まで2カ月半を要したものの08年北京五輪には最年少17歳で出場した。

 だが、再びアクシデントが起こる。翌年にハイヒールで転倒して右足首を捻挫。国際大会の代表を逃す失意も味わった。しかし、メダルを期待された12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得。希望と挫折が順番に訪れる星だったが、再び悪夢に襲われたのは14年9月の仁川アジア大会中だった。

 プールサイドでふらつき歩けなくなった。「何で体きついんだろう」。薬で安定していたはずの病が原因だった。リオ五輪を見据え手術を決断。同年11月に甲状腺を全摘出した。術後は2週間自宅安静し、1カ月足らずでプールに入れたが「練習に復帰する時も、不安はあった」。昨年末にすがる思いで門を叩いたのが“再生工場”だった。

 寺川綾、中村礼子らを再起させた平井伯昌コーチに師事。最初は全盛期から20秒以上も遅い2分30秒を切るのがやっとだったが「先生が背中を押してくれた」と前を向いた。それでも、4月の世界選手権の国内選考会では不安のあまり母に電話した。

 「みんなへの感謝の気持ちを込めて泳ぎなさい」。その言葉を胸に6連覇を達成。それから4カ月後、表彰台の頂点で涙を流し君が代を聴いた。「本当にありがとうという気持ちをこれから伝えたい」。母への最高のプレゼントだった。

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