リオ五輪ボート会場など深刻水質汚染 「スプーン3杯で重大な影響」

[ 2015年7月30日 14:33 ]

リオ五輪のボートやセーリング会場となる3つの競技会場は選手に重大影響を与える危険性があるとされた(AP)

 米AP通信社は29日、リオデジャネイロ五輪のボートやセーリング会場となる3つの競技会場の水質についてショッキングな調査結果を公表した。5カ月間にわたって独自の調査と検査を行ったもので、ボートとカヌーの会場となるロドリゴ・デ・フレイタス湖などの水はその多くが糞(ふん)尿で汚染されており「スプーン3杯分の水を摂取しただけで99%の確率で選手に重大な影響を与える危険性がある」と専門家は指摘している。

 検査は下痢、おう吐や風邪の症状を引き起こすロタ、エンテロ、アデノ各ウイルスや大腸菌を対象にして実施されたもので、ウイルス病原体と病原性微生物(バクテリア)の両方を対象にしたのはこれが初めて。ブラジル政府は「水は安全である」と主張してきたが、ウイルスの検査は実施していなかった。

 3カ所の競技会場での検査は各4回。ロドリゴ・デ・フレイタス湖に関して組織委員会側は「ここ数年できれいになった」と語っていたが、アデノウイルスは1リットルで1400万個から17億個が検出されており、皮肉にも最悪の数値を示した。汚染度は米カリフォルニア州南部の海岸のなんと170万倍。大腸菌に関してもブラジル国内の基準値の10倍に達するサンプルがあり、コレラ、赤痢、腸チフス、肝炎などをいつ発症しても不思議ではない水質であることが判明した。

 汚染の原因は五輪招致の際に確約した下水処理施設の整備が遅れているためで、湖面に大量の魚の死骸が浮かぶなど、かねてから水質の悪化を懸念する声は多かった。

 AP通信によればセーリング会場となるグアナバラ湾で練習していたオーストリア代表の選手は、練習後すぐにシャワーを浴びたにもかかわらず吐き気と高熱に見舞われてダウン。選手を指導していたコーチの1人は「自分の競技人生の中で最悪の水質だ」と語っており、しぶきを浴びただけでも感染する危険が出てきている。

 観光地としても有名なコパカバーナ海岸の汚染度は比較的低かったが、ここで実施されるのは競技時間が長く、しかも水との接触面が多いトライアスロンのスイムとオープンウォーター(10キロの遠泳)。免疫のない選手にとってはきわめて危険な大会となりそうだ。

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