板橋美波　世界で１人の大技１０９Ｃ決めたけど…リオ切符お預け

女子飛び込み準決勝で１６位敗退した板橋

水泳世界選手権第６日

（7月29日 ロシア・カザニ）
　飛び込みの女子高飛び込み準決勝で、予選６位だった兵庫・甲子園学院高１年の板橋美波（１５＝ＪＳＳ宝塚）が３０５・３０点の１６位で敗退し、来年のリオデジャネイロ五輪出場枠を逃した。同高２年の佐々木那奈（１６＝同）は３１位で予選敗退した。シンクロナイズドスイミングのソロ・フリールーティン（ＦＲ）決勝で乾友紀子（２４＝井村シンクロク）は９２・４３３３点で５位だった。

　静まり返る会場に大きな水しぶきが上がった。１４位で迎えた準決勝の４本目。予選では世界で１人しかできない前宙返り４回半抱え型（１０９Ｃ）を成功させ、１本としては全体２番目に高い８６・９５点を叩き出していた。だが、この日２度目の大技は空中で回りすぎたため入水が乱れ、５５・５０点で１６位に後退。最後の５本目も低調な得点に終わると涙がこぼれた。

　「これが自分の実力。決勝（がかかる場面）で力を出しきれなかった」。上位１２人による決勝に進めば来年の五輪出場枠を獲得し、日本水連はその選手を代表にすると決めていたが、夢は持ち越しとなった。

　予選では「失敗したらどうしようとか考えるのはアホやな」と開き直って好結果につなげた。課題のメンタルを克服したかのように思われたが、実際は違った。競泳選手の「決勝見に行くから」という言葉、友人からの「決勝行ってメダル獲って」のメール。それぞれが「プレッシャーになった」という。そしてミスにつながった。それでも予選で一気に順位を上げたように、ずば抜けた脚力と抜群の回転スピードから生み出される１０９Ｃの“威力”を肌で感じられたのは大きな成果だ。これまでの国際大会では失敗が続き、１０点台に終わったこともあった。「この種目、自分ががやってていいのか」と自問自答することもあっただけに、予選での成功で「成長できた」と一定の収穫を得た。

　今大会、この種目での五輪切符獲得はならなかったが、まだ３メートル板飛び込みも控えている。９月のアジア杯、来年２月のＷ杯でも五輪出場権獲得のチャンスはある。「練習して１０９Ｃを常に完璧に決めたい」。１５歳のホープは次なる戦いに目を向けた。