大人の白鵬、照との1敗対決制す!ダメ押し注意も敗戦も引きずらず

[ 2015年7月23日 05:30 ]

照ノ富士(右)との1敗対決を制した白鵬

大相撲名古屋場所11日目

(7月22日 愛知県体育館)
 自身が持つ史上最多記録を更新する35度目の優勝を狙う横綱・白鵬(30=宮城野部屋)が新大関・照ノ富士(23=伊勢ケ浜部屋)との1敗対決を寄り切りで制した。前々日の逸ノ城戦のダメ押しの厳重注意と前日の敗戦を引きずることなく、貫禄の違いを見せつけた。横綱・鶴竜(29=井筒部屋)も1敗で首位を堅持。2横綱を照ノ富士と関脇・栃煌山(28=春日野部屋)が2敗で追う展開となった。
【11日目取組】

 決して熱くなり過ぎることなく「自然の動き」で白鵬が新世代に格の違いを見せつけた。背丈こそほぼ同じだが、体重は自身よりも23キロも重い178キロの照ノ富士に対し、立ち合いで鋭く踏み込んで得意の右を差す。そして次の瞬間すぐにグイッとかいなを返した。土俵下で見守った伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)は「照ノ富士の立ち合いが甘く(白鵬の)かいなが返って近づけなかった。上手が取れなかった」と見る。

 たった数秒間で完全に自分のペースに持ち込んだ横綱は新大関に最後まで上手を取らせなかった。自身の左上手は一枚まわしで引き付けられなかったため慎重に構え、1分10秒をかけてじっくり料理。勝負が決まった後に荒々しいダメ押しを見せた前々日の逸ノ城戦とは打って変わって、最後は教科書通りに土俵際で冷静に腰を割って寄り切った。

 「若さもありますし、体重も上回ってますから。先に自分の型をつくることができた」。30歳の経験が23歳の勢いを上回り1敗を堅守。史上1位の連続2桁勝利は51場所に伸ばし、名古屋場所は10年連続2桁勝利。帰路に就くまで表情はいたって柔和だった。

 9日目の逸ノ城戦でのダメ押しで相撲協会には苦情が殺到。前日には伊勢ケ浜審判部長が「態度が悪い」と師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)を通じて厳重注意し、白鵬本人も「抑えるところは抑えないと。意識してやっていきたい」と反省の弁を述べた。しかも、10日目は好調の栃煌山に敗北。並の人物であれば、そこで精神バランスが崩れるのが普通だが、そこは百戦錬磨の横綱だ。この日の朝はいつも通り稽古場に出てきて、いつも通りに汗を流し稽古後には複数の後援者と写真撮影に応じる余裕も。厳重注意からたった一晩で「切り替えて頑張ります」と言えるほど心に動揺は生じていなかった。

 場所後の29日にはモンゴルの国民栄誉賞に当たる「労働英雄賞」の受賞パーティーを故郷で盛大に開催する。「まあ、まだまだ。集中していきたいです」。残り4日の正念場をあくまで冷静に乗り越え、誰よりも母国に優勝を届けたいと思っている。

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