栃煌山 白鵬も引きずり降ろした 鶴竜に続き全勝横綱を“1敗”へ

[ 2015年7月22日 05:30 ]

白鵬(右)をはたき込みで破った栃煌山

大相撲名古屋場所10日目

(7月21日 愛知県体育館)
 関脇・栃煌山が全勝の横綱・白鵬をはたき込みで破った。前日の鶴竜戦に続く横綱連破で1敗を守った。関脇以下で2日連続して横綱を破ったのは昨年名古屋場所の豪栄道(鶴竜、白鵬)、大砂嵐(鶴竜、日馬富士)以来。全勝が消え、1敗に白鵬、鶴竜、照ノ富士、栃煌山の4人が並ぶ混戦となった。
【10日目取組結果】

 愛知県体育館には2日続けて結びの一番で観衆のどよめきが響き渡り、座布団が舞った。その音量と数は、前日をはるかにしのいだ。鶴竜に続いて、白鵬まで敗れる波乱劇。それを一人で演出した栃煌山は「あ~よかった」と細い目をさらに細めてほほ笑んだ。

 立ち合いで当たり勝ったのは白鵬だった。白鵬の鋭い踏みで、栃煌山は後退した。しかし「重心が低く居られた。起き上がらなかったのが良かった」。左に回って体を開き、相手の背中をはたくと、白鵬は左手からバッタリと落ちた。過去1勝28敗の相手を1敗グループに引きずり込んだ。

 好調の要因は立ち合いを変えたこと。以前は仕切り線の後方から、爪先を数回開閉させて前進し、立つタイミングを計っていたが、開閉する回数を1回に。シンプルにすることで迷いが消えた。「一気にいってやろう」とばかり考えていた意識も変えて柔軟に対応する。白鵬にはもろ差しで一気に前に出る狙いを読まれて、腕をたぐられるとったりで敗れることも多かったが、この日は「当たってからも、落ち着いていた」と冷静にはたいた。唯一の白星だった12年秋場所は「相手が落ちただけ。参考にならない」たまたまの勝利だったが、今回は進化した立ち合いから狙ってつかんだ白星だった。

 06年初場所の栃東以来途絶えている日本出身力士の優勝への期待が膨らんできた。1敗の他の3力士はこれからつぶし合っていくが、栃煌山は22日の豪栄道戦を乗り切れば、もう三役以上との対戦はない。「このまま調子に乗っていきたい」。12年夏場所では優勝決定戦まで行きながら賜杯には届かなかった。その後はライバル豪栄道や年下の照ノ富士にも大関獲りで先を越された。足踏みが続いた大関候補に花を咲かせる絶好のチャンス到来だ。

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