【高野進の目】上半身安定すれば100M9秒台可能

[ 2015年7月21日 10:45 ]

世界ユース選手権2冠を達成したサニブラウン

 サニブラウンの走り方は足の回転というよりも、足を前に出しながら地面を捉えている。系統としては伊東浩司(100メートル日本記録保持者)や末続慎吾(200メートル日本記録保持者)に近い。お手本のような腕振りとは言い難いが、低い位置で肩と腕と肘をうまく使って大きな力を出している。筋力よりも体全体を使って、力を地面に伝えている印象だ。

 可能性という意味では日本のスプリンターの中で群を抜いている。まだ上半身の発達期で筋肉が付いていない。上半身が安定してくれば、恐ろしい記録が出るだろう。現時点では200メートルの方が得意だが、100メートルの走り方をマスターすれば9秒台の可能性もある。世界記録更新の目標を持ってもおかしくない。

 今は走れば記録が伸びる状態。調子がいい時は何も考えずに突っ走れるが、これから壁に直面したり、ケガをすることもあるだろう。指導者、スタッフとともに、戦略的に仕上げていってもらいたい。5年後には東京五輪もある。どのようなルートで頂点に行くのか、楽しみは尽きない。

 (男子400メートル日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

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2015年7月21日のニュース