サニブラウン ボルト超えで2冠!史上最年少代表入り確実

[ 2015年7月21日 05:30 ]

男子200Mを制して日の丸を背に喜ぶサニブラウン

陸上世界ユース選手権最終日

(7月19日 コロンビア・カリ)
 男子200メートルでサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が向かい風0・4メートルの中、20秒34で優勝した。03年にウサイン・ボルト(28=ジャマイカ)がマークした大会記録20秒40、13年の桐生祥秀(19=当時京都・洛南高、現東洋大)の高校記録20秒41を更新し、100メートルとの2冠を達成。世界選手権(8月22日開幕、中国・北京)の参加標準記録20秒50も突破し、日本史上最年少での代表入りも確実だ。

 同世代のライバルだけではなく、世界基準の名スプリンターも置き去りだ。サニブラウンがマークした20秒34は、ボルトの大会記録も桐生の高校記録も上回った。大会新で制した100メートルと合わせて短距離2冠は、もちろん日本初の快挙。「2つの金メダルを狙っていた」。まだあどけなさを残す16歳が、初の海外試合で圧倒的なパフォーマンスを披露した。

 ガーナ人の父と、短距離で高校総体に出場した日本人の母を持つ。小学3年まではサッカーでFWだったが、母に「団体競技に向いてない」と言われて陸上に転向。ウオーミングアップから試合への流れの中で緊張感が高まることが苦手で、「最初は嫌々やっていた」とサニブラウンは苦笑いで振り返る。昨年、国体の100メートルで10秒45の高1歴代最高をマークするなど大舞台を経験し、ようやくレースを楽しめるようになってきた。

 今季は100メートルで0秒17、200メートルは0秒75も自己記録を更新。急成長の理由で思い当たるのは一つだけ。中学時代に20センチ以上伸びた身長が1メートル87で止まり、「筋肉が追いついてきたのかな」と言う。指導する山村コーチも「今はまだ、他の高校生とやっていることは同じ」と説明する。20年東京五輪に向けた日本陸連の強化選手「ダイヤモンドアスリート」にも選ばれた16歳は、まだダイヤの原石。磨けば磨くほど、輝きは増していく。

 今大会で世界選手権の参加標準記録20秒50を突破し、8月3日発表予定の追加代表が確実だ。世界選手権開幕の8月22日に16歳169日のサニブラウンは、83年ヘルシンキ大会の開幕時に16歳328日だった佐藤恵を超え、男女通じて日本最年少で夢舞台に立つ。「五輪で金メダルを獲りたいし、世界記録も破りたい。目標に向けて大きな一歩になった」。16歳のゴールデンボーイが、壮大な野望へ加速する。

 ◆サニブラウン・ハキーム 1999年(平11)3月6日、福岡県生まれの16歳。小学3年から陸上を始める。城西高1年の昨年、ともに高1歴代最高となる100メートル10秒45、200メートルで21秒09をマークした。6月の日本選手権では100、200メートルでともに2位に入り、戦後初の高校生ダブル表彰台。1メートル87、70キロ。

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