新国立競技場 新計画にはサブトラック常設案を

[ 2015年7月21日 10:00 ]

新国立競技場のイメージ(日本スポーツ振興センター提供)

 批判の嵐にさらされていた新国立競技場問題が、安倍首相の鶴の一声で白紙に戻った。決断の背景はともかく、2520億円もの無駄使いがなくなるのなら喜ばしいことではある。ただし、問題は費用だけではない。

 日本陸連の公認陸上競技場は規模に応じて1種~4種に分類され、世界陸上などの大きな国際大会は当然、ランクが一番上の第1種競技場で行われる。そして第1種には必ず補助競技場、すなわちサブトラックの設置が義務づけられている。つまりサブトラックのない現行計画の新国立競技場では完成後に世界陸上はもちろん、国体やインターハイすら開催できないのだ。

 この問題は陸上界では早くから多くの関係者が指摘してきた。だが、敷地面積と予算の関係で難色を示され、結局20年の五輪時には近くに仮設のトラックを建設することで押し切られた。実際、旧国立競技場にもサブトラックはなく、64年の東京五輪や91年の世界陸上時にはやはり仮設トラックで乗り切った実績があったからだ。

 サブトラックは何も贅沢で義務づけられているわけではない。陸上競技は種目数が多いため、トラック、フィールド、投てきの各種目が同時に行われる。そこにウォーミングアップ中の選手たちまでグラウンドにあふれたらどうなるか。事故防止のためにもサブトラックは絶対に必要なのだ。実際にこれまで五輪や世界陸上の取材で世界各国の競技場を見てきたが、常設のサブトラックがないところはなかった。

 五輪は仮設トラックで乗り切れても、仮設費用を考えれば国体やインターハイではまず使用できないだろう。莫大な建設費の主因は弓状の構造物(キールアーチ)とされているが、貴賓室や会議室、展示場やレストランなど競技場としての機能以外の部分にも巨費が使われている。もう一度徹底的なコスト削減を図り、ぜひとも新たな計画には常設のサブトラックを盛り込んでもらいたい。(藤山 健二)

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