旭天鵬1勝懸命 幕内在位100場所へ生き残る!!5日目「やっと」

[ 2015年7月17日 05:30 ]

豊響(左)をすくいなげで破る旭天鵬

大相撲名古屋場所5日目

(7月16日 愛知県体育館)
 崖っ縁力士が踏ん張った。「十両陥落なら引退」を公言する西前頭11枚目の40歳、旭天鵬が平幕・豊響をすくい投げで下し、初白星を挙げた。幕下陥落危機の十両・若の里も初勝利、カド番大関・琴奨菊も2勝目を挙げた。全勝は白鵬、鶴竜、照ノ富士、鏡桜の4人となった。

 ベテランらしい鮮やかな逆転勝利だった。4連勝と勢いに乗る豊響の激しい突き押しに、旭天鵬は土俵際まで後退した。この窮地で左を差すと、体を開きながらすくい投げ。「うまく入ったよね。入らなかったら負けていた」。188キロの巨体をひっくり返した。

 5日目にしてつかんだ初白星。「やっとだなぁ。勝つってうれしいね」。前日は歴代5位の通算勝利数で白鵬に追いつかれたが、この日は925勝で並走。「とりあえずきょうは抜かれないよ」と小さく胸を張った。

 5月に尿管結石を患ってからは水分摂取を心がけている分、食事量が減って体重は5キロ減の約150キロになった。だが「増えるよりいい」と体調は悪くない。4連敗となった前夜。心配する電話が「7、8件」かかってきた。春場所(6勝9敗)も4連敗発進から危機を乗り切ったとはいえ、旭天鵬自身も「モヤモヤはありましたよ」。名古屋の街に繰り出し、ウイスキー「バランタイン17年」をロックで1本半空けた。この日の朝稽古中には大雨の中「ヤケクソだよ」と笑いながら傘も差さず屋外に出て散歩。「全て洗い流してきた」。40歳らしからぬ、やんちゃな験直しが実った。

 幕内在位99場所目。秋場所での100場所、九州場所での通算出場歴代1位(大潮の1891を追って現在1871で2位)などの記録がレジェンドの闘争心をかき立てる。一方で十両に落ちれば、引退を覚悟している。取組前には92年3月初土俵の同期で幕下陥落の危機にある十両・若の里も初勝利を挙げて、支度部屋では握手でねぎらった。「同時入門同時引退もあるかもね。それは冗談でも、頑張るしかないよ」。残留の目安は6勝。まだまだ先は長いが、悪い流れはひとまず断ち切った。

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2015年7月17日のニュース