“脱川内弟”へ 打倒・川内を誓う鴻輝「同じレースで勝たないといけない」

[ 2015年7月10日 12:48 ]

隠岐の島ウルトラマラソンで、川内鴻輝(右)は兄・優輝に完敗。兄打倒へ燃えている

 打倒・川内を誓う男がいる。実業団ランナーでも、プロランナーでもない。今春、高崎経済大を卒業し、居酒屋を全国展開するモンテローザに入社した川内鴻輝。公務員ランナー・川内優輝(埼玉県庁)の弟だ。

 同社陸上部には6月末の日本選手権・男子幅跳び2位の嶺村鴻汰や、女子棒高跳びを制した竜田夏苗らが所属している。実業団登録をしていない鴻輝は陸上部の枠外。入社後、「スポーツ宴会獲得チーム」に配属され、事務作業やイベントの企画などの仕事をこなす。もちろん、毎日の練習は欠かさず、優輝同様、週末になれば日本全国どこかのレースに参戦する。

 鴻輝のマラソンの自己ベストは2時間21分48秒。兄の2時間8分14秒には遠く及ばないが、地元の埼玉・久喜市ではランニング教室を開くほどの有名人だ。なぜか?それは鴻輝が「川内優輝の弟」だから。その事実は、鴻輝も「兄貴のお陰で今の自分がいるのは間違いない」と認めている。

 学生時代に目指していた箱根駅伝は、結局1度も出場できなかった。マラソンのタイムも実績も、兄とは比べものにならない。今のところ、匹敵するのはランニング愛くらいか。だが、熱い思いが、もう1つの夢をかなえる原動力になる。兄に似た早口で、弟はまくしたてた。

 「川内弟から脱却するためにも、とにかく同じレースで勝たないといけないんです!」

 過去にマラソンなどで10レースほど直接対決したが、兄に勝ったことは、まだ1度もない。6月の隠岐の島ウルトラマラソン(50キロ)では27分差をつけられる完敗だった。壁は確かに高い。だが、兄が絶不調かつ弟が絶好調で激突すれば、あるいは…。いつか優輝を超える日を信じて、鴻輝はきょうも走る。(杉本 亮輔)

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2015年7月10日のニュース