新国立 完成は19年5月目標 財源問題解消へ命名権売却も

[ 2015年6月30日 08:40 ]

新国立競技場のイメージ(日本スポーツ振興センター提供)

 下村博文文部科学相は29日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)について、10月に着工して19年5月に完成を目指す方針を発表した。整備費は当初の計画から約900億円膨らんで2520億円。下村文科相は財源問題の解消のため、新国立競技場の命名権(ネーミングライツ)の売却を検討する考えも示した。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長、東京都の舛添要一知事、遠藤利明五輪相らが集まった調整会議で、下村氏は新国立競技場の整備費が2520億円になることを説明した。

 終了後、下村氏は記者団に「整備費2520億円はやはり高い。民間からの寄付を含め、できたら200億円くらいは集めたい」とネーミングライツの販売に言及。文科省の担当者は「具体的な方法はまだこれからです」としながら、「資金調達を模索する中で、どういう方法がいいのか、全ての可能性をつぶさずに検討する」と話した。

 ただ、税金を投入した国の施設に民間企業の名前が入ることや、数年単位で命名権が移動する可能性など問題点も残る。国交省関係者は「民間企業や商品名がつくことに対し、国民的なコンセンサスが十分でない」と話すなど後ろ向きで、省庁間の調整も必要だ。

 さらに、民間企業が命名権を得たとしても、国際オリンピック委員会(IOC)の規定により五輪期間中は特定の企業名は出せない。関係者からは「企業側のメリットがない」との指摘もあり、どの程度の整備費を調達できるか不透明な部分もある。

 コスト増大と工期の長さの要因とされた競技場の2本の巨大なアーチ構造は変更しないが、フィールド部分を覆う開閉式屋根の設置は大会後に先送り。今回の整備費には開閉式屋根を含んでおらず、最終的にさらに膨れあがる可能性もある。

 下村氏はまた、多額の寄付をしてくれた人のネームプレートを競技場の壁面に設置するという、個人からも寄付を募る案についても検討するとした。選手として出場できなくても、寄付で五輪施設に名前が残せるとは夢のような話ではある。東京五輪・パラリンピックでは、金メダルの個数と同様、“金”集めの行方にも注目が集まりそうだ。

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2015年6月30日のニュース