錦織敗退…地元ツォンガ相手に完全アウェー「自分を見失った」

[ 2015年6月4日 05:30 ]

悔しい8強敗退…ツォンガのショットに必死に食らいつく錦織だったが…

全仏オープンテニス第10日

(6月2日 パリ・ローランギャロス)
 男子シングルス準々決勝で、世界ランキング5位で第5シードの錦織圭(25=日清食品)は地元フランスの世界15位、ジョーウィルフリード・ツォンガ(30)に1―6、4―6、6―3、6―4、3―6で敗れた。強風が吹き荒れる難しいコンディションで序盤からミスを連発。準優勝した昨年の全米オープン以来となる4大大会2度目のベスト4を狙ったが届かなかった。今季クレーシーズンはこれで一区切り。4大大会次戦のウィンブルドン(29日開幕、英国)を見据えて芝シーズンに突入する。

 全仏最多9度の優勝を誇り、ローランギャロスを誰よりも知るナダル(スペイン)が大会前に話していた。「ここは他のセンターコートより広くて少し大変。常に風がある」。事前に錦織にその覚悟があれば、結果は違ったかもしれない。

 この日は特に強い風が縦横に吹き荒れ、何度も赤土を巻き上げた。ツォンガも「大変だった」と話したように、コンディションは両者に平等だ。ただし、錦織が全仏のセンターコートに立つのはまだ3回目。センターコートの環境に対する順応性は歴戦のツォンガに一日の長があった。

 「最初はほぼ風にやられた。なぜか少し焦りも出てしまった」。風が打点を乱し、錦織から正確無比なストロークを奪った。ツォンガが普段よりつなぎを重視してきたことも力みを生んだ。「風がある中で早く決めなきゃと焦った」と打ち気にはやり、「ミスが早過ぎてラリーにもなってなかった」と第1セットは自滅した。

 第2セットも同じ流れだったが、再び“風”がいたずらした。2―5となった第7ゲーム直後、スコアボードのハトよけ用の3メートルのアルミパネルが観客席に落下するハプニング。観客に大きなケガはなかったものの、試合は約40分中断した。

 一度、ロッカーに引き揚げた錦織は「コーチにいろいろ言われて我に返った」という。「戦術を変えてうまくいき始めた」と、相手の弱点のバックを狙い再開直後のゲームをブレークするなど、ようやく平常心を取り戻してプレーにも切れ味が戻った。第2セットは落としたが、そこから2セットを取り返して最終セットへ。だが、第4ゲームで先に痛恨のブレークを許した。40―15とリードしながら「集中力が途切れた」とダブルフォールトなど悔やまれるミスで逆転された。このセットはツォンガの第1サーブが絶好調。もはや付け入る隙はなかった。
 
 「ベスト8まで来たことに意味はある」と今大会を総括した錦織は、「最初の2セットであれだけ自分を見失うのは久しぶり。ちょっとショックだった」と気持ちの整理はついていない様子だった。4回戦後には「優勝までチャンスはある」と言い切った。それだけの自信、もっと上を狙える確信があったからこそ、敗れた悔しさは一層色濃くにじんだ。

続きを表示

2015年6月4日のニュース