手嶋、29年ぶりホストVで13年ぶり全英切符!

[ 2015年6月1日 05:30 ]

仲間に胴上げされる手嶋

男子ゴルフツアー~全英への道~ミズノ・オープン最終日

(5月31日 岡山県笠岡市 JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部=7415ヤード、パー72)
 手嶋多一(46=ミズノ)が1986年の中嶋常幸以来、29年ぶりにホストプロVを遂げた。首位から出て前半で3バーディーを奪って差を広げ、69をマーク。通算15アンダーで昨年の日本プロゴルフ選手権以来の通算8勝目を挙げた。練習はしなくても、研ぎ澄まされた感覚で13年ぶりの全英オープン出場も決めた。2打差2位のスコット・ストレンジ(38=オーストラリア)、4打差3位の高山忠洋(37=スターツ)、富村真治(24=ザ・カントリークラブ・ジャパン)も全英切符を獲得した。

 29年の空白を、手嶋らしいステディーなゴルフで埋めた。2位とは3打差の最終18番パー5。いつも通り、3Wでティーショットを打った。「ここ3、4年、1Wは打ってない。決めたマネジメント通り」。セーフティーリードでも、自分のゴルフを貫き、中嶋常幸以来、29年ぶりにホストプロがウイニングパットを沈めた。しかもミズノのボールで優勝するのは男子のレギュラーツアー初の快挙。完璧なホストぶりで大会を盛り上げた。

 「優勝できるなんて思ってもいなかった。しかも全英にも行けるなんて。感無量です」

 1番で第1打を右に曲げてもパーでしのぎ、3番は3メートル、7番は2メートルのパーパットを沈めた。ボギーを打たず、単独首位に立った後の8番では絶妙な13ヤードのチップインバーディー。10、11番も連続でスコアを伸ばし勝負を決めた。

 30歳すぎまでは遅くまで練習をしていたが、「神経質でメカニックに走り過ぎて」何度もトンネルに迷い込んだ。「スイングも大事だけど、上がってナンボの世界」と気付き、今は誰よりも早くコースを去る。自他共に認める“日本一練習しないプロゴルファー”だが、代わりに磨いたのは感覚。1Wからウエッジまでどのクラブも同じように振り、同じような球筋が出ることに細心の注意を払う。鏡を見ながらの素振りや、打つまでのルーティンにもこだわる。「ボールは打たないけれど、イメージづくりは大事。感覚は研ぎ澄まされている」と胸を張る。

 ゴルフを始めた7歳の時からミズノのクラブを使い、プロデビューしたのも22年前の今大会。意義深い大会を制し、20年連続の賞金シードを確定、13年ぶりの全英オープン行きも決めた。46歳の円熟味はこれから増していく。

  ≪ハウスキャディーも感慨≫勝利の女神も喜びをかみ締めた。4年前から手嶋のバッグを担ぐ、ハウスキャディーの三島千春さん(49)は「一生にそうあることじゃない。“ありがとう”と言っていただきキャディー冥利(みょうり)に尽きます」と頭を下げた。朝の練習場でストレッチもせずにいきなりボールを打ったり、ピンまでの距離が記してあるヤーデージブックを持たなかったり、驚かされることばかりだったという。そんな感覚派を的確なグリーンの読みで支える好アシストだった。

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