一ノ瀬 ケガで長期離脱乗り越えて奪首!最終日、勝って泣く

[ 2015年4月26日 05:30 ]

ケガで長期離脱を乗り越えた一ノ瀬

女子ゴルフツアー フジサンケイ・レディース第2日

(4月25日 静岡県伊東市 川奈ホテルゴルフコース富士コース=6367ヤード、パー72)
 7位から出た一ノ瀬優希(26=フリー)が5バーディー、ボギーなしの67をマークし、通算7アンダーの137で首位に浮上した。昨年はケガに泣かされシーズンの大半を欠場したが、今季から復帰。早くもツアー4勝目のチャンスが巡ってきた。2打差の2位に金ナリ(29=韓国)。3打差の3位に藤田光里(20=レオパレス・リゾート・グアム)らが続いた。
【第2R成績】

 燃えるような赤いポロシャツに身を包んだ一ノ瀬が、バーディーの赤丸印を量産した。2番で残り140ヤードの第2打を7Iで3メートルにつけてバーディーを奪うと、最終18番は4メートルを沈めてバーディー締め。「チャンスについたところはパットが入ってくれた。きょうのラウンドは80点」と自己評価した。

 昨年は5月までに2勝を挙げるなど充実のシーズンを送っていた。しかし、6月のヨネックス・レディース練習日に左鎖骨付近に痛みを覚え、病院で「左胸郭出口症候群」と診断された。その後も痛みは消えず「公傷」に相当するトーナメント特別保障制度を申請し、ツアーを欠場。当初は千葉県内の病院で「おじいちゃんやおばあちゃんと一緒にやっていた」とリハビリに励んだが、終わりの見えない日々に「いつ試合に復帰できるんだろう」と焦りが募った。ツアーのテレビ放送を見ることもできなかった。

 9月からは環境を変え、国立スポーツ科学センター(JISS)でリハビリを開始。フリースタイルスキー・モーグルでソチ五輪代表の伊藤みきら他種目のアスリートと交流を持ち「みんな私よりひどいケガをしているのに、前を向いて目標を持っている。自分に足りないものはこれじゃないか」と触発された。気持ちを新たにケガをしにくい体づくりやスイング改造に取り組み、今季の開幕戦から復帰を果たした。そして迎えた復帰7戦目。復活優勝のチャンスをつかみとった。「順調に仕上がってきている。良いイメージがあるので周りのことは気にしないで自分のペースでやりたい」。大きな壁を乗り越えた26歳に、もはや恐れるものはなにもない。

 ◆一ノ瀬 優希(いちのせ・ゆうき)1988年(昭63)10月5日、熊本市生まれの26歳。プロゴルファーの父・喜一郎氏の手ほどきで12歳からゴルフを始める。御船高卒業後、07年のプロテストで一発合格。13年のTポイント・レディースで初優勝。14年は2勝を挙げた。1メートル58、54キロ。特技はケーキづくりでチーズケーキはプロ仲間にも好評。

 ▽トーナメント特別保障制度 対象は賞金シード選手で、トーナメント競技出場に起因することが明らかな負傷または疾病(公傷)によってトーナメントに出場できなくなった場合に、日本女子プロゴルフ協会の特別保障制度専門委員会が承認した欠場から1年後までに復帰した場合に限り、欠場時に有していたシード権を保障する。一ノ瀬は昨季、シード選手の出場義務試合(昨季は21試合)をクリアできなかったが、制度が適用されたことで31位に入った賞金ランクが有効となり今季シード権を得た。

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