菊地絵理香涙の初V 8年目「やっと…」完全優勝で決めた

[ 2015年4月20日 05:30 ]

初優勝した菊地はくまモンから肩をもまれ笑顔

女子ゴルフツアー KKT杯バンテリン・レディース最終日

(4月19日 熊本県菊池郡 熊本空港カントリークラブ=6452ヤード、パー72)
 やっと、やっと勝てた。首位から出た菊地絵理香(26=オンワードホールディングス)は5バーディー、2ボギーの69で回り、通算9アンダー、207でプロ8年目にして悲願の初優勝を飾った。初優勝が完全優勝だった選手は88年のツアー制度施行後、24人目。5打差の2位にイ・ボミ(26=韓国)と若林舞衣子(26=ヨネックス)が入った。前年度覇者でアマチュアの勝みなみ(16=鹿児島高2年)は76と伸ばせず、通算9オーバーの47位だった。

 待ち続けた瞬間がついに8シーズン目に訪れた。最終18番。80センチのウイニングパットを沈めると、菊地は笑顔で右手を突き上げた。だが、待ち構えていた練習仲間の吉田弓美子らと抱き合うと涙があふれ出る。「やっと勝てたという感じです」。実感を込めて語った。

 好調のパターでこの日もスコアを伸ばした。優勝を意識し始めたという14番は緊張で硬くなり、3パットのボギーを叩いたが、直後の15番はカラーから6メートルをパターでねじ込みバーディー。「今までならズルズル崩していたと思うけど、成長した部分なのかな」。最終18番の3打目は川口キャディーが「安全に奥を狙おう」と助言したが、菊地は残り86ヤードを52度のウエッジでピンそばにつけた。最後まで攻めの姿勢を貫いた。

 「初優勝のチャンスだった」という13年の日本女子オープンは終盤の16、17番で連続で3パットのボギーを叩き2位。直後から小技の特訓を始めた。今オフは一緒に練習した男子プロでパターの名手の谷口徹に「感性を生かせ」と助言され、扱いやすいが繊細なタッチを出しづらいマレット型からピン型にパターを変更。タッチを合わせる練習を繰り返し、「(ラウンドでは)1番から18番までタッチを替えないことを徹底すると、ラインも読めるようになった」。13年の平均パット数は1・8252で44位だったが、現在は1・7595で2位と改善された。

 愛らしい外見とは裏腹に大の負けず嫌い。4歳の時に家族でスキーに出かけたが、菊地は父・克弥さん(51)に負けじと高い丘の上から猛スピードで滑走し、両親は肝を冷やした。中学2年生からの4年間は飛距離を伸ばすためにシャフトに2キロの鉛を巻き付けた7Iを毎日欠かさず振り、肋骨を3度も疲労骨折したという根性娘だ。

 「実力がついたら賞金女王も目指したいし、米国にも行きたい」と今後の目標を掲げ、6月の全米女子オープン日本予選(兵庫・有馬ロイヤルGC)出場を決めた。殻を破った26歳が夢への一歩を踏みだした。

 ◆菊地 絵理香(きくち・えりか)1988年(昭63)7月12日、北海道苫小牧市生まれの26歳。6歳からティーチングプロの父・克弥さんの指導でゴルフを始める。中学3年で日本女子アマ4強入りし、東北高校へ進学。3年時は主将を務めた。08年のプロテストに合格。姉・明砂美もプロゴルファー。1メートル57、52キロ。得意クラブはSW。

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