北島引退示唆 3位で世界選手権代表逃す「桜のように散りました」

[ 2015年4月9日 05:56 ]

<水泳日本選手権 男子100メートル平泳ぎ決勝>声援に手を振る北島

 五輪2大会連続2冠の北島康介(32=日本コカ・コーラ)が現役引退を示唆した。競泳日本選手権第2日は8日、今夏の世界選手権(ロシア・カザニ)の代表選考を兼ねて東京辰巳国際水泳場で行われ、男子100メートル平泳ぎに絞って出場した北島は1分0秒18で3位に終わった。2年連続で代表入りを逃し、レース後は引退の可能性についても言及した。

 ボルテージが最高潮に達したのは残り5メートル。立石との2位争いで横一線に並んだ北島は全力で水をかき、最後は必死に腕を伸ばした。「ゴールした瞬間、59秒台であってくれと思った」。ゴーグルを外し、電光掲示板を凝視したが、映し出されたのは3位、1分0秒18。「やっぱりな」。0秒14及ばず2年連続の代表落ち。それでも表彰台の一番低い位置から、誰よりも笑顔でスタンドの千紗夫人と昨年5月に生まれた長女に手を振った。

 「桜のように散りましたね。また来年、桜を咲かせたい気持ちはあるけど、選手であり続けるべきであるか考えたい」

 引退をほのめかす言葉だった。

 準決勝を2位通過。レース前は鬼の形相で集中力を高めたが「2人(小関と立石)は後半強い」という意識が自らにブレーキをかけた。50メートルのターンで小関に頭1つ遅れ、後半も差を詰め切れず「もう少しできたんじゃないか」とため息。平井コーチも「飛び込んで、そのままいっていれば」と悔しさをにじませた。

 目標を見つけられなかった昨年は調整が遅れ、この種目で7位。今季は世界選手権を見据え「トライしたい気持ちがあった」と昨季より2カ月以上早い昨年10月から始動してきた。5年ぶりの高地合宿にも挑み米国へ。右脚付け根を痛めながら一日も休まずメニューを消化。昨季を上回る結果を出し「日本では辛うじて戦えてると思うと、選手は楽しいと思える瞬間がある」と喜びを味わいながらも「追い込むほど、ケガのリスクがあり、葛藤がここ数カ月強かった」とアスリートとして限界も感じている。

 16年リオデジャネイロ五輪を目指す次なる目標もあるが、今後について問われると「選手として続けるか、2つに1つ。先のことは日にちがたてば気持ちも変わってくる。早めに決断したい」と言った。この種目、世界トップの争いは58秒台とあり「このタイムでは全然勝負できないポジション」と現状も理解している。五輪か、引退か。最後の選択が迫られる中、戦う意味を自らに問いただす。

 ▽競泳世界選手権代表選考 個人種目は日本選手権の決勝で日本水連が定めた派遣標準記録を突破し、2位以内に入れば代表となる。リレー種目は世界選手権で12位までにリオデジャネイロ五輪の出場枠が与えられるため、派遣標準記録をクリアできなかった場合でも代表に選ばれる可能性がある。世界選手権金メダルは、その種目に限り16年リオデジャネイロ五輪の日本代表に内定する。

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