桐生 9秒フィーバーに待った 8月世界選手権が今季最大目標

[ 2015年3月31日 05:30 ]

米国から帰国し、大勢の報道陣に囲まれる桐生(中央)

 「9・87秒フィーバー」に待った!陸上のテキサス・リレーの男子100メートルで、追い風参考ながら9秒87の好タイムで優勝した桐生祥秀(19=東洋大)が30日、成田空港着の航空機で帰国した。日本人初の公認記録での9秒台が現実味を帯び、国内今季初戦の織田記念国際(4月18、19日、広島)で新記録に期待が高まることは必至。それでも東洋大の土江寛裕コーチ(40)は今季の最大目標は8月の世界選手権(中国・北京)とし、高まるムードにくぎを刺した。

 到着ロビーに現れた桐生が目を丸くした。視界に映ったのはテレビカメラ4台に、20人を超える取材記者。さらに通路を歩いただけで「あ、桐生だ」と声が上がり、次々と携帯電話のカメラを向けられる。五輪でも、世界選手権でもない大会から帰国し、「9秒台」の破壊力を実感した。

 「米国では普通でしたけど、日本に帰ってきて盛り上がっているな、という感じです。(会場も)盛り上がりましたけど、ここまでではないので」

 メールやツイッターには大量の祝福メッセージが届いたというが、中には「次は公認記録で」と期待する声も少なくなかったという。本人も「以前から100メートルだけではなく、200メートルでも日本記録を狙っている」と明言。次戦の織田記念国際は13年に10秒01を叩き出した験のいい大会で、会場も高速トラックで知られる。いや応なく期待は高まるが、そこにくぎを刺したのが土江コーチだ。

 昨年は4月に右太腿裏、6月に右足底部を痛め、9月は左太腿裏肉離れで仁川アジア大会を欠場するなど故障を重ねた桐生。土江コーチも「去年は故障と対処療法しかできなかった。今年からようやく私の考えを取り入れたトレーニングをしている」と話し、まずは故障しない体づくりが先決との考えだ。報道陣に対しては「あくまで8月がピークなので、広島とか日本選手権(6月)で9秒台ということを盛んにおっしゃると思いますけど、テンション控えめでお願いします」と異例のお願いに打って出た。

 桐生本人も今季の最大目標を世界選手権に設定しつつ「9秒8台が出たので、10秒01を出した時と同様に、10秒1や2じゃ満足してもらえない」とニヤリ。記録を意識する、しないにかかわらず、9秒台で走る力を備えつつあるのは間違いない。

続きを表示

この記事のフォト

2015年3月31日のニュース