羽生SP首位!日本人初連覇へ、圧巻の今季自己最高95・20点

[ 2015年3月28日 05:30 ]

SPで軽快な動きを見せ首位発進した羽生

フィギュアスケート世界選手権第3日

(3月27日 中国・上海)
 偉業が見えた。男子ショートプログラム(SP)で、ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(ゆづる、20=ANA)が今季自己ベストの95・20点をマークして首位。4回転ジャンプは完璧ではなかったものの、激突事故があった昨年11月の中国杯と同じ会場で、日本人初の連覇へ好発進した。小塚崇彦(26=トヨタ自動車)は70・15点の19位、無良崇人(24=HIROTA)は64・93点の23位と出遅れた。男女フリーは28日に行われる。

 大技が乱れても、羽生は落ち込むどころか前向きだった。「(昨年末の全日本以来で)ちょっと試合勘がなくなりすぎていた。本番の持っていき方を考える、いい機会になった」。4回転トーループの着氷が乱れながら今季自己ベストの95・20点で首位発進だ。ホテルに押しかけるファンから守るため、入り口からエレベーターまでの約30メートルにも専属ガードマンが付く厳戒態勢。中国でも大人気のプリンスが、王者の演技で観衆を沸かせた。

 昨年末に腹部の手術を受け、練習再開後には右足首を捻挫。今大会に向けた再スタートは3月に入ってからだが、ここから猛練習だ。オフの夏場よりも、プログラム全体を滑りきる「通し練習」の回数を増やした。「全日本がプラマイゼロとしたら、(今大会は)プラス2くらいはきている」。4回転のミスはあったが、残りのジャンプやスピン、ステップで着実に加点。「3週間、追い込んできて良かった」と充実の汗を拭った。

 昨年11月8日、今大会と同じ会場で行われた中国杯で死を覚悟した。フリー前の6分間練習で閻(エン)涵(カン)(中国)と激突。「1秒に満たない時間差があったとしたら、僕はいなくなっていたかもしれない」。24日、練習でリンクに立つと、事故が頭をよぎった。だが、それは恐怖ではなく、ただの回想。「こんなこともあったな」。この日の6分間練習で転倒した際にテン(カザフスタン)が迫ってきたが「デニス(テン)にひかれそうになった」と笑う余裕がある。

 28日のフリーで日本人初の連覇を狙う。「勝ち気だし、ビッグマウスと思われていると思う」と自身を分析する20歳だが、最近は具体的な目標を公言しなくなった。代わりに増えた「とにかく成長したい」というフレーズ。トラブル続きの今季、ついに成長を実感できる時が来た。「完全に戻っている以上と思っている。僕は今回、フリーの方が自信がある」。過去の自分を超えた時、プリンスがまた黄金の輝きを手に入れる。

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